PBWめも
昔語り
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俺とアイツの縁だぁ? んなこと知ってどうするってんだ。大して面白くもねぇってのに。 ……ったく物好きだねぇ。 かれこれ三十年くらい前か。まだ本当に普通のカラスだったよ。でもまぁ、その頃から首周りは白かったんで何かと周囲とは揉めたね。 ニンゲンサマだってそうだろ?周りから浮いてりゃ、すぐ爪弾きだ。縄張り争い、餌場争い。んなことは日常茶飯事だ。 人間と喧嘩したこともあったな。暫く顔見るたびに追い回してやったが、あんときの野郎の顔、傑作だったねぇ。今思い出しても笑える。 大体売られた喧嘩は熨斗つけて返してやったんだが、ある時こっぴどく負けてね。翼もやっちまって、落ちた先があの人、アイツが主様っていう人の家だ。 そうなった同類の末路は知ってる。駆除されてお陀仏さ。だから俺もそうなるもんだと思ってた。なのによ、あの人は優しいんだかズレてんだか、死ぬだけな俺に水と食いもんをくれたわけだ。 アイツを初めて見たのもその時だよ。あの人の後ろに、ちょこん、と付いてきてたのが、アイツ。薄っすら透けてんで幽霊化なんかかと思ったが、あの人には触れてるし会話もしてる。 なんだこいつは、ってのが最初の印象だ。でも、見てる限りアイツもあの人も楽しそうだった。膝の上にアイツを乗せて、二人してニコニコしてんの。 まぁ、俺はそっから一週間で死んだんだけどな。体は腐る前に駆除されたが、浮遊霊みたいに残っちまってな。あれだ、受けた恩を返してねぇって未練が残ったんだろうよ。 そのうちに、あの人は亡くなって、アイツも姿みなくなって、さてどうするカァってのが二十年ばかり。 ある時、たまたま。ほんっとうにたまたアイツを見つけたんだ。見た目こそあんときとは違うが、直感的にアイツだとわかったよ。 暫くアイツを見てたんだが、なんてか放っとくとよくねぇな、なんて思った時にゃこーど?で呼ばれる時の大きさになってた。んで、なんでか口に剣咥えてよ。 あの頃アイツは、人形だけでやってたし護身用になればいいか程度でアイツにやったんだがな。あのクソガキは、何をトチ狂ったか特攻かますようになりやがって……! 戦うなんて縁もねぇくせにふざけやがって!アイツもヤドリガミそんなガラじゃねぇだろってのに! ったく本当によぉ、放っといてどっかで野垂れ死にされても寝覚めが悪ぃんで、何とか頑張って昔のサイズに戻って側にいるようにしたんだがな。 そしたらまぁ、余計に面倒なところが目につくようになったんで、アイツが馬鹿やるたびにどついてんだ。一回につき三回。それでも懲りやしねぇ。 起こりもしねぇところ見ると、なんでそうなのかわかってるんだろうよ。ったく本当クソガキめ……。 ……まぁ、昔恩を受けた人にそれを返せねぇなら、その人が可愛がってたのを面倒見る。それが、出来る恩返しだろうよ。俺はそう思ってるがね。 まぁ、それが本当かどうかの判断はまかせらぁ。
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