PBWめも
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● 刃を交える衝撃音、溢れる光。虚空を瞬き程の僅か、けれど確かな存在感を以て陰鬱な闇を照らす火花が、転送されたばかりのシリルーン・アーンスランド(最強笑顔の護り風・f35374)の前で散った。 熾烈に瞬く光彩は、猟兵達が並々ならぬ決意を持って戦に挑んでいる事を雄弁に伝える優しくも苛烈な光であった。即ち、言葉なき魂の咆哮。瞬くそれはたちまちに邪悪な気配を圧倒し、打ち流していく。 時間としては短くも厳しい戦は、けれど猟兵側が勝利を納めたようであった。先程よりも揺らいだ邪悪な気配が光より距離を取ったかと思えば、不意に幻の様に立ち消えていく。 (倒せた?いえ、これは……) 城の何らかのギミックを使って移動した、と考える方が自然か。手掛かりを探しに闇へと踏み出し掛けた刹那、少女の耳にりぃん、りぃんと煤闇より響く澄んだ音色が響く。 鈴なりに似た音色はシリルーンの琴線に触れる何かがあった。 幽かに、寄せては返す波の様に儚く。けれど心傾けずにはいられない、悲痛な呼び声に似た音。辺りを見渡せば、滅亡卿が消えたであろう通路とは別の道に浮かび上がる青く、淡く輝く蝶がいた。今にも地に落ちそうに、けれど懸命に羽ばたいてはシリルーンにその存在を示していた。 『タスケテアゲテ』『アノコヲスクッテ』 風を切る音に、悲痛なひとの声を宿して。超常の存在である事は疑いようがなかった。 敵の罠かも知れない、それほどに怪しくはあった。けれど少女の覚悟が……銀の雨降る学舎での経験が否を告げる。 これは、死者の声。詠唱の銀ならざれども組み合わされた思念の形であると、本能に訴えかけるようであった。 「今日わたくしは命と尊厳に対する最期の礼儀の為参りました」 故に、シリルーンは告げる。秘めた決意を、柔らかに、冬に差す陽の光の様な穏やかさを湛えて。 案内して下さいますか、そう続けた声に蝶は羽を震わせる。まるで咽び泣くかの様に。 奥へ、奥へと伸びる廊下。脇に嵌め込まれた窓は小さく、狭く、けれど薔薇と蔓草が複雑に絡み合う精緻な意匠を掲げ、一目で贅を尽くされたものだと分かる。 埃1つ見当たらぬ絨毯は、まるで渇かぬ血を啜ったかの様な深紅でシリルーンを出迎えるようで。 「ゲストルーム…いえ、違いますわね」 この先はきっと展示室。恐らくこの城の主にとって特別な……比例するように凄惨な、命の冒涜。 先程見た光は、間近で見れば淡く光る蝶のブローチ。弱々しく、今にも地に落ちそうな……さながら死に体
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