本文編集: 解説とおまけ

正解は、夏輝くんでした。
　解説するね。

まず５人の証言から、犯行時間はお昼休みから放課後の間に絞られました。
　そこから一人ずつ潰していきます。

まず、諒太くん。
　諒太くんはお昼休み、猫に餌をあげに行っていたと証言しています。
　この怪しい行動を指摘したのは晃くん。

二人とも明確なアリバイがあるわけではないけれど、紫崎くんと夏輝くんが揃って“猫の存在”は認めています。

よって、諒太くんに関しては正直者と考えていいです。
　そして、その行動を晃くんも見ていることから、二人は同じ時間に同じ場所に居たことになるので、晃くんもまた下駄箱には立ち寄っていないことになります。

紫崎くんと鉄馬くんはずっと一緒に居たし、僕が把握してるタイミング以外では下駄箱には立ち寄っていないという点で証言が一致しています。

また、紫崎くんに関しては放課後に一度居なくなってはいますが、晃くんの証言からこの時点では既に刷り変わっていた可能性が高いので一旦保留として。

鉄馬くんはこのタイミング以外紫崎くんと離れていなかったことになるので、完全にアリバイがあります。

夏輝くんに関しては体育の時間に忘れ物を取りに離れましたが、この時の行動を知っている人はいないので、この時間のアリバイはありません。
　また、下駄箱に落ちてたと言って鉄馬くんのハンカチを持って来ましたが、鉄馬くんの証言が真実だとするなら、夏輝くんのこの発言は嘘になります。
　中休みに鉄馬くんと僕が玄関に向かった時も、下駄箱前には画鋲を仕込み中の晃くんが居たため、下駄箱までは近づける筈が無いからです。
　…近づいたら見つかっちゃうしね。

嘘つきは一人だけ。
　この時点で、夏輝くんの発言は矛盾しているため嘘つき確定となります。

中休み、諒太くんの行動は明言されていないけど、他の三人が揃って出ていたわけだから、鉄馬くんの鞄からハンカチを抜き取ることも…教室に残っていた夏輝くんなら可能でした。
　中休みは教室に居たし皆が見てる。
　この点に関してだけは、本当だろうね。

更に補足するなら、髪の毛。
　見つかったのは黒だけど、発見者である鉄馬くんも黒。
　茶髪の人が黒髪の人を犯人に仕立てあげるために言い出すならともかく、自分も疑われることを堂々と宣言するかなぁ？
　ってことで、少なくとも鉄馬くんの線は危うくなるよね。
　わざと、とも言えなくはないけど。
　紫崎くんや晃くんがわざと黒髪を残したんだとしても、自分達では言い出さなかった。
　鉄馬くんが気づかなかったら意味の無い作戦になってただろうね。
　僕は気づいてなかったし。
　それ考えたら、紫崎くんや晃くんも犯人とするには微妙かな…。
　あの黒髪は、犯人が無意識に落としたもの。
　そう考えると…自ずとしぼられるよね。

以上が僕の推理。
　皆はどうだった？

【その後】

ちなみに夏輝が犯人とバレた後。

澪
「じゃ、夏輝くん。
　これ履いてね」

夏輝
「えー、こういうのは澪くんが履いてこそ可愛いんじゃーん」

澪
「うるさい。
　僕だって恥ずかしかったんだからね!?」

夏輝
「恥ずかしがってる澪くん見たかった」

澪
「シメるよ」

夏輝
「はいはい、わかったよー」

ピヨ。

夏輝
「んー」

ピヨ。

夏輝
「ちょっとサイズ小さいかにゃー」

ピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨピヨ

澪
「待って、ねぇ待って夏輝くん。
　なんで平然と歩き回ってんの」

夏輝
「え、なんでって？」

澪
「恥ずかしくないの!?」

夏輝
「いやー、俺ってば恥ずかしいってよくわかんないんだよにゃー」

澪
「はぁ？」

夏輝
「ごめんねー、これじゃあ仕返しになんないねー」

澪
「うっ、嘘だ！　だって朝は確かに」

晃
「どうしても仕返ししたいならさー、教えてやればいいんじゃない？」

澪
「え？」

晃
「ほら澪くん見せてやんなよ。
　夏輝くんに、お手本」

夏輝
「あ、それいい！
　見せてよ澪、俺真似すっからさ」

澪
「な……は、履けってこと!?」

紫崎
「恥ずかしがらせたいんだろ？」

澪
「う……いや、そこまで無理には」

晃
「いいじゃん一回履いてんだし。
　何回履こうが同じだよ」

澪
「同じじゃな……って、なんで一回履いたの知ってんのさ!?」

諒太
「もーいいじゃん。
　５対１じゃさ、どう頑張っても、逃げれないよー」

鉄馬
「ほれ頑張れ」

澪
「う、裏切り者ぉっ！」

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