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【仮プレ】外宇宙への出航~See You Again
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逢真とミコ ■ 「ふーむ、万毒の群生地とは実に素晴らしい響きです。」 樹木化の毒が蔓延する丘をぽよよんと黒い饅頭が跳ね回る。黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)だ。 『黄衣の王』崇め、竜種を蒐集し糧とする事を趣味とするミコだが、蒐集対象は何も竜種だけとは限らない。 未知なる毒も彼女にとっては立派な蒐集対象だ。今もまるで熊の様な立派な樹木に取りつくと、樹木に生えたキノコを捕食する事により樹木化の毒を取り込んでゆく。 「むぐむぐ……意外と美味しいですね。……少し身体が擽ったいです。」 浴びた者を別の存在に変質させる様な毒を大量に取込むなんて正気の沙汰ではない。だが、人を狂気に導く神を崇める彼女が正気なわけがない。 加えて言えば毒の影響も気合とドーピングで強化した毒耐性で最低限に留めていた。 そして、ミコは少しずつ樹木化の毒を自身の物へと変えてゆきながら丘の攻略を勧めてゆく。 「胞子っつっても《毒》は《毒》。問題なく『食える』。」 そんなミコの後を平然と追うのは朱酉・逢真(朱ノ鳥・f16930)だ。病毒に戯ぶ神である逢真にとって毒に満ち溢れ丘はただの丘となんら変わりはない。 仮に胞子が体に付着しても胞子に含まれる毒は逢真の糧にしかならないのだ。故に逢真は毒に満ちた丘をミコと共に散歩するかのように歩き回る。 「さて、そろそろ仕事に取り掛かりたいがどうしたものかな。」 逢真は徐に空を見上げればそこには黄褐色の霧の様な物体が漂っていた。勿論、それは霧などではない。 それは蜜蝋の鎧で身を包んだ蜜蜂竜アピスドラゴンと蜜蜂竜娘パックであった。 「ねぇ、アピスくん。あれってなんなんだろう?」 「■■■■■……。」 パック達は地上の猟兵達をドン引きしながら見守っている。なんせ、この丘は対策なしなら自分達でも瞬く間に樹木になってしまう危険地帯だ。 なのに眼下の存在は毒に満ちた丘の中を平然と動きまわっている上に黒い饅頭に至っては危険なキノコを片っ端から貪っている。 明らかに丘の環境に適応して存在でありそんな相手と戦えば苦戦は確実だ。それ故にパック達は集結しながらも対象を安全な高空から監視する程度に留めていた。 「明らかに俺達を警戒しているな。」 「うーむ、このままでは何時までたっても本命にありつけないです。」 ミコと逢真は何時まで経っても襲い掛かって来ない蜜蜂竜達に顔を顰め、弾力の良い体を波打たせた。 元よりパック達の討伐や蒐集が目的である二人にとって今の状況は好ましいものではない。下手するとこのまま監視されるだけで終わりかねないからだ。 「ねぇねぇ、試したい事があるから協力いただけますでしょうか?」 このままではいけないと考えたミコは逢真の元に跳ね寄ると分かれ道で二手に分かれて行動する事を提案するのであった。 ■ 「あっ! じゅもくかがはじまったよ!」 「ほんとうだ! やっぱりあんなにキノコをたべてだいじょぶなわけがないよね!」 ミコと逢真が二手に分かれて暫くしてキノコを貪っていたミコの体に異変が起きる。突然のた打ち回ったかと思えばミコは瞬く間に丸っこい樹木となり地に根を張ったのだ。 パック達はそんなミコの変化に安堵するとアピスドラゴン達に待機させながら樹液を採取する為に意気揚々と近づいてゆく。だが、それは何時まで経っても襲い掛かって来ないパック達をおびき寄せる為の策であった。 表面上は完全に樹木化した上で地に根を張り霊脈から生命力を吸収している。だが、その内部は依然として弾力のあるスライムのままだったのだ。 『いあいあはすたあ……拘束制御術式解放。黒き混沌より目覚めなさい、第玖の竜よ!』 「えぇ!? まだじゅもくかしてなかったの?! いったんにげないと……きゃあ!?」 パック達が毒の影響圏内に突入する直前で樹木の中からくぐもった声が響き渡る。パック達は黒い饅頭が完全に樹木化していなかった事に驚き、慌てて退避しようとするがそれは出来なかった。 何故なら既にパック達の周囲を屠竜の魔女であるミコの魔力が取り囲んでいたからだ。魔力は蜜蝋の鎧に取りつくと関節の動きを阻害しパック達を毒の蔓延する大地へと堕としてゆく。 更に魔力は鎧の隙間から内部へと潜り込んでゆき、胞子を吸わない様に必死に息を止めるパックの体を擽り始めた。 「あははははははっ! た、たしゅけて……あはははは……アピス……く……ん。」 結果としてパック達は次々と笑い転げながら動きを止めてゆく。そんな片割れの様子に上空で待機していたアピスドラゴン達も慌てて急降下を始めた。 だが、パック娘を助けに行くという事はミコの魔力の中へと飛び込む事も意味している。普段のアピスドラゴンであれば魔力による拘束を振り切りパックを助ける事も出来たかもしれない。 しかし、今の重く動きづらい蜜用の鎧に身を包んだアピスドラゴンでは魔力による拘束から逃れる事が出来なかった。こうしてアピスドラゴン達も次々と地に堕ちて雪、毒の餌食になるのであった。 「さぁ~て、そろそろでしょうか? ……立派な樹木になってますね。」 暫くして丸っこい樹木の隙間から外へと滲み出て来たミコは動きを止めた蜜蜂竜へと近づくと樹木と化した蜜蝋の鎧を剥がし始めた。 程なくして蜜蝋の鎧が全て剥がれらば中から樹木となり地に根を張る蜜蜂竜が姿を現した。魔力を使い器用に樹木化した蜜蜂竜達を傷つければ、傷跡から樹液が滲み出してくる。 「んぅ~♪ 甘くて美味しいです。」 ミコがパック達の血液が変じた樹液を舐めてみればそれは蜂蜜の様に濃厚な甘さであった。こうしてミコは蜜蜂竜であった樹木から滴る樹液を啜り始めるのであった。 ● 「加護も大分強化されてきたようだな。いい加減こちらか仕掛けても良さそうだ。」 ミコと別れた逢真は相変わらずパック達に監視され続けていた。 ミコと違い逢真に敢えて樹木化して相手を欺く事は出来ない。代わりに逢真は上空で監視するパック達を地に引き摺り降ろす為の為の準備を整えていた。 「よし、お前達あれを地に堕としてこい。」 神としての権能を解放した逢真が点を指差し命令を下せば、何処からともなく鳥と蟲が湧き出してくる。これこそが逢真の神としての権能の1つである眷族の創造であった。 「あわわわわ! なんかとんできたよっ!?」 「やだ、すきまにはいらないでよ! アピスくん、たすけてぇ!」 「■■■■■!!?」 逢真に造り出された眷族達は次々とパック達へと殺到してゆき、パック達は大混乱に陥れる。 小さな羽虫が次々と鎧の隙間に潜り込み関節の動きを阻害してゆき、鳥が体に纏わりつく重量を挙げてゆく。 途中、アピスドラゴンが鳥や虫を叩き落としても新たな蟲と鳥が逢真によって創り出され纏わりついてゆく。 そして、次々と纏わりついてくる鳥を支えきれなくなったパック達は次々と墜落していった。 (うぅ、じめんにおとされちゃった……。はやくそらににげないと!) 大地に墜落したパック達は空へ逃れる為に息を止めながらも必死にもがいた。だが、そんな彼女達に追い打ちを掛けるかのように鼠の眷属が殺到する。 鼠の眷属は蜜蝋の鎧に取りつくと鋭い前歯で齧り始めた。逢真による籠の与えられた鼠達は鋼鉄並みの強度を誇る蜜蝋を少しずつ削り取っていく。 そして、パック達が眷族を振り払おうと激しく動く事による負荷が蜜蝋の鎧に致命的な損傷を齎した。 バキン! 「あぁ!? よろいがこわれちゃった! このままじゃわたし……じゅもく……に……。」 鼠に削り取られた鎧が激しい動きに耐え切れずに破損したのだ。そして、変化は劇的であった。 パック達の体が鎧が壊れ露出した箇所から一気に樹皮の様に硬質化してゆき、瞬く間に地に根を張る樹木となったのだ。 そして、鼠達が樹木に齧りつき傷をつければそこから樹液が滲み出してゆく。 「ホラ。これでてめぇらが樹液を出す側さ。因果応報ってやつだねえ。」 こうしてパック達が全て樹木になるのを見届けた逢真はパックであった樹木から樹液を啜る眷族達に背を向けてグリモアベースへと帰還するのであった。 テフラ ● 「敵も味方も油断すれば樹に変えられてしまうのですね……。」 胞子の漂う森の中、テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)は気を引き締める。 普段から石像や蝋人形等にされてしまう事に喜んでしまう被虐嗜好の持ち主だが、流石に敵と戦う前にやられるわけには行かないのだ。 だが、そんな彼の決意とは裏腹にキノコの胞子は早速テフラの四肢を樹皮に変えつつあった。 「って、言っている傍から樹木化してきています!? な、なんとかしないと……『にゃ~ん♪』」 自身の四肢が樹皮の様になっている事に気が付いたテフラは慌てて可愛いポーズと共に【癒しの鳴き声】を発動させる。 すると樹皮と化した皮膚が少しだけ元に戻った。この事実にテフラは顔を鹿ませた。 「まずいです。このままだと何れ樹木化してしまいます。」 癒しの鳴き声だけでは樹木化を抑えきれない以上、テフラに残された道は短期決戦以外になかった。 ● 「みんなー! りょーへいをみつけたよー!」 「なんでうさぎなのににゃーにゃーないてるのかな?」 体の樹木化が進行する度に猫の鳴きまねをしていた為か鳴き声に惹かれてパック達が集まってきた。しかし、テフラは樹木化の進行を抑えるのに必死で蜜蜂竜達の接近に気がつかない。 そして、パック達は眼下の獲物が既に樹木化してきている事に気が付いた。相手が既に樹木化しかけているのならば、パック達の取るべき戦法は持久戦だ。 「みんな! あのりょーへいをみつろうでかためるよ!」 「「「おー!」」」 パック達は新たに分泌した蜜蝋を丸めて蜜蝋玉を作り上げると次々とテフラに向けて投げつけ始めた。突如として頭上から降り注いできた蜜蝋玉をテフラは避けきれず、あっという間に下半身を固められてしまった。 「『にゃ~ん♪』それにしても、パック達は何処に……? あわわ!? 蜜蝋が身体に! ……あれ、下半身しか固めてない?」 嘗て蜜蜂竜と戦った事のあるテフラはパック達が全身を蜜蝋で固めてこない事に疑問を抱く。 そして、近づいて来たパック達が何かをストロー状の針を片手に何かを待ちわびている様子を見てパック達の目的が樹木化した自身である可能性に行きつく。 「もしかして樹木化のために手加減をしているとすれば……? これはチャンスです!」 身動きが取れなくなった今のテフラが完全に樹木化するのも時間の問題だろう。だが、パック達もこちらがまともに抵抗できないとみて完全に油断している。 そこでテフラは最後の賭けに出る事にした。テフラは下半身を固めてからも続けていた続けていた猫の鳴き真似を一旦取りやめた。 すると鳴きまねによって抑えられていた樹木化が一気に進行を始める。程なくしてテフラは全身が樹皮に包まれてしまった。 パック達は全身が樹皮に包まれた事を確認するとテフラへと近づいていく。この時テフラが小声で猫の鳴きまねを続けており、内部までの樹木化を防いでいる事にパック達は気づいてはいなかった。 「もーすぐじゅえきをさいしゅできるね! どんなあじがするのかな?」 「……今です! 『にゃ~ん♪』」 パック達を限界まで引きつけたテフラは全力の鳴きまねを披露して全身に及んだ樹皮と下半身を固める蜜蝋を一気に剥がしてゆく。 そして、突然の復帰を遂げたテフラに慌てふためくパック達が立ち直る前に石化ポーションを投げつけながら魔法少女の杖で殴り掛かった。 石化ポーションの中身がパック達に降りかかり鋼鉄の如く堅牢な蜜蝋の鎧を脆い石の鎧へと変えてゆく。そして、テフラの振りかざした魔法少女の杖が石の鎧を一気に打ち砕いた。 「わぁ!? わたしたちのよろいがくだかれちゃったよ!」 「そんなことよりもはやくにげないとわたしたちもじゅもくになっちゃう!」 「逃がしませんよ! こうなったらあなた達も道連れです!」 鎧が砕かれた為に慌てて上空へ逃げようとするパック達の脚をテフラは思い切り握った。 未だに羽根の蜜蝋が剥がれていないパック達ではテフラを支える事が出来ず、テフラと共に目に見える程に胞子の蔓延する領域へと落ちていった。 「うぅ……わたしも樹木に変えられてしまいますが……あとは他の猟兵達に……任せ……。」 こうしてテフラは2体のパックを道連れに歪な人型が繫がった不気味な樹木へと成り果てるのであった。 リアン ● 「対策はしたものの、短期決戦を心がけた方が良さそうです。」 リアン・ブリズヴェール(微風の双姫・f24485)は胞子対策として【魅了変化】を活用して準備したピッチリスーツを見下ろしながら呟く。 厚手で水を通さない素材で出来た衣類は情報通りに胞子による浸食からリアン身体を守ってくれている。だが、胞子を遮る為のスーツ自体が少しずつ樹皮の様な質感へと変質を始めていた。 このまま放置すれば樹皮の様に変質したスーツが破損する可能性すらあった。この時点でリアンは長期戦が不可能である事を悟った。 「敵の数が多いですけど……それなら数で対抗します。」 リアンの見上げる先には予想以上に沢山いる蜜蜂竜達が飛び回っていた。1対1体対処していては数の暴力で潰されると考えたリアンはこちらも数で対抗しようと考えた。 【魔物幽霊娘軍団召還】により呼び出された300体を超える魔物娘を乗せたラミアが突如として現れた軍勢に慌てふためくパック達に攻撃をお願いする。 そして、リアンも【オルタナティブダブル】を発動させる事により相棒のファムを呼び出すとパック達との戦いに臨んだ。 この時リアンはこの時過ちを犯した。1つは胞子を吸わないようにする為の策を忘れていた事、もう一つは短期決戦の為とはいえ数を揃え過ぎた事だ。 これら過ちの代償をリアンは直に支払う事になる。 ● 「わーい! じゅえきとりほうだいだよ!」 リアンとファムは目の前の光景に唖然とする。数分も経たない内に300体近くいた魔物娘とラミアが全て樹木にされてしまったのだ。 呼び出された魔物娘達はあまりにも数が多すぎた為に過半数の魔物娘とラミアが胞子の蔓延する領域に入らざるをえなかった。そして、胞子の蔓延する領域に入った魔物娘達は早々に胞子を吸って樹木化してしまった。 樹木化を逃れた魔物娘達にしても魔法により幾分かのパックを倒す事に成功したのだが相手は300体近い数に対抗する為に数を更に増やしていた。そして、樹木化を免れた魔物娘は蜜蝋玉の集中砲火を受けて行動不能に陥りそのまま樹木に成り果てた。 パック達は樹木に成り果てた魔物娘達の股間部や胸等、恥ずかしい場所に次々と針を刺されて樹液を収穫を始めていた。 そして、魔物娘達が全滅すれば次に狙われるのはリアンとファムだ。 「あー! こんな所にもじゅもくのもとがいるよ!」 「ほんとうだ! みんな、ハチだんごさくせんでうごきをふうじるよ!」 リアンとファムはあっと言う間にパック達に囲まれて押し競饅頭の餌食となった。灼熱の押し競饅頭によりリアンとファムは汗だくになり、同時にパック達の身に着けていた蜜蝋の鎧が高熱で溶けてゆく。 「そろそろやめないとわたしたちもあぶないよ!」 暫くして蜜蝋が壊れかけている事に気が付いたパック達が慌てて押し競饅頭を中止する。それに伴いリアンとファムが押し競饅頭から解放されてゆく。 しかし、リアンとファムは灼熱の押し競饅頭に晒された事による消耗と灼熱により溶けた蜜蝋に塗れてまともに動く事が出来ない。 「も、もうだめです……。」 「うぅ……。」 そして、行動不能に陥ったリアンとファムは風に乗って漂ってきた胞子に包まれてしまう。ここで胞子を吸わないような策を講じていれば多少は耐えられてしれない。 だが、そのような策を準備していなかった二人は胞子を吸い込む事になり魔物娘達と同様に樹木となった。 そして、パック達はリアンは股間部やファムはお尻に針を突き刺し樹液の採取を始めた。 「じゅもくになったかな? それじゃあいただきまーす!」 「ん~♪ みためはそっくりなのにぜんぜんあじがちがっておもしろーい!」 こうして、パック達の支配する区域に似たような形で恥ずかしい場所から樹液を垂れ流す樹木の乱立する領域が出来上がるのであった。 燈夏 ● 「前に会った個体と違って蜜蝋の鎧に身を包んでいるのですね。」 音月・燈夏(麗耳の狐巫女・f16645)は黄褐色の鎧に身を包んだパック達を見上げた。オベリスクを壊す為の戦いで相まみえた個体とは大きく異なる見た目に燈夏は気を引き締める。 しかも、今回は戦場そのものも燈夏を樹木に変えようと牙を剥いてきている。今は霊力による保護のお陰で完全に防げているが、これも何時まで持つか分からない。 燈夏は自身が樹木にされない為にも早々に決着をつける事にした。 「炎で鎧を溶かしてあげましょう。そしたら、毒胞子が止めを刺してくれますよね?」 燈夏は狐火を召喚すると蜜蝋玉を浴びせようと接近してきたパック達へと浴びせてゆく。狐火は蜜蝋の鎧に纏わりつくと高熱で鎧を溶かしていった。 「うわぁ!? よろいがとけちゃってる! は、はやくにげないと……あっ……。 「あっと言う間に樹木になってしまいましたね。……樹液を採取できないのが惜しいです。」 蜜蝋の鎧を溶かされてしまったパックは蜜蝋の鎧に頼り、胞子の真っただ中を突っ切ろうとしていた為にモロに胞子を浴びる事になった。 そして、次の瞬間にはパックは全身を樹皮に包まれた状態で墜落し地面に着弾するとそのまま根を張ってしまった。 燈夏は樹液を採取して味わう事への衝動に駆られるが、採取の為の道具を持ってきていない事や上空に陣取るパック達からの蜜蝋玉攻撃が始まった為に諦める事にした。 「あぁもう! 降りて来て下さい!」 「やだよ! おりたらじゅもくになっちゃうもん!」 最初の内は順調にパック達の蜜蝋の鎧を溶かしそのまま樹木化させる事が出来ていた燈夏だが、パック達も学習してきたのか高空から爆弾の如く蜜蝋玉を落とす先方に切り替えて来た。 落ちて来る蜜蝋玉は狐火で容易に撃ち落とせるのだが、肝心のパック達に狐火を浴びせようとしても中々当たらないのだ。燈夏は圧倒的に不利な状況に陥っていた。 「はやくじゅもくにならないかな~?」 「このままじゃ霊力が尽きてしまいます……。」 只管に胞子の及ばない高空から蜜蝋玉を落とすだけで良いパック達に対し、燈夏は常に霊力を消費して体を包み込まなければならない。 しかも、上空から降り注ぐ蜜蝋玉を打ち落とす度に貴重な霊力が更に消費されてしまう。更に言えば空の上を飛び回るパック達の数が明らかに増えている。 パック達に消耗戦を挑まれた時点で燈夏に勝ち目はなかった。 「あぁっ……霊力尽きてしまいました。一旦退かないと……あぁっ! 蜜蝋で足が!」 「みんなー! もうすぐあたらしいじゅもくができるみたいだよ!」 とうとう霊力の尽きてしまった燈夏はやむを得ず一時撤退を試みた。しかし、霊力の消えた瞬間を狙ったかのように飛来した蜜蝋玉により下半身を固められてしまい逃げる事は叶わなかった。 「嫌……樹木になんて……なりたく……な…………。」 こうして霊力が尽きてしまった燈夏は胞子に晒されて瞬く間に樹木と成り果てた。 そして、樹木化した燈夏にパック達は容赦なくストロー状の針を突きたてると樹液を採取しその味を堪能するのであった。 ● ここで時間は燈夏が樹木に成り果てた直後にまで遡る。 「あっ……分身がやられてしまったみたいですね。」 奮闘する燈夏から数キロ離れた場所にある岩影に隠れる者がいた。それは燈夏であった。 何を隠そう健闘するが樹木にされてパック達に採取されてしまっている燈夏は本体の生み出した分身だったのだ。 『んー、なんとも危険な地域ですね。危うく戦う前から樹木になる所でした。』 実は燈夏は領域に突入して早々に胞子を浴びて樹木になりかけていたのだ。その時は霊力で全身を包む事により事なきを得ていた。 しかし、戦う前に戦闘不能になりかけた事から自ら戦いに出向く事を危険と判断した燈夏は分身を戦わせることにしたのだ。 燈夏は分身創造で呼び出し霊力で全身を保護した分身を戦場へと送り出すと分身を維持できるギリギリの距離から戦いを見守っていた。 更に更に万が一にも偽物とばれて本体の捜索を開始されない様に分身には霊力が尽きたら逃げてくるように指示を出すという徹底ぶりだ。 「さて……分身を戻すのにも霊力を使わなきゃいけませんし、分身も健闘してくれたようですから私は撤退しても大丈夫ですよね?」 燈夏はまるで何処かで見ている誰かに言い聞かせるかのように呟くと樹木と化した分身を置いてグリモアベースへと帰還するのであった。 二尾・結 ● 「なんだか厄介な胞子だけど、私の『不壊で正義の防御障壁』には効かないんだから!」 胞子の漂う丘の中、二尾・結(通りすがりのツインテール・f21193)は自信満々に声をあげる。 今の結は自らの想像する無敵の防御幕に守られている。結を樹木に変えようとする毒は勿論の事、空から降り注ぐ蜜蝋段も防御幕に弾き返されて結を拘束する事が出来ない。 正しく今の結はこの丘において無敵の存在と化していた。強いて問題があるとしたらパック達が高空から降りてこない為に結もパック達を倒す事が出来ないことくらいだろう。 「どうしよう……わたしたちのこうげきぜんぜんきいてないよ……。」 「あきらめちゃだめだよ! きっとりょーへいをたおすほうほうがあるはずだよ!」 「あはははは! 相談なんてしても無駄よ! 今の私には樹木化の毒もあんた達の攻撃も通用しないわよ!」 高空で相談するパック達を結は大声で笑いながらパック達を煽るという端から見るとどちらが悪人なのかわからなくなる光景が繰り広げられる。 だが、暫くしてパック達が徒党を組むと結へと突撃を始めた。それを見た結は笑みを深めると真っ向から迎え撃つ為に破刃剣を構えた。 「漸く諦めたのね! まとめて一刀両断にしてあげるわ!」 「そうはいかないよ! みんな、ハチだんごさくせんだよ!」 果たして結はパック達を両断する事が出来なかった。パック達は破刃剣を振るった瞬間に散開するとそのまま結を中心にするように再集結を始めたのだ。 無敵の防護幕がある為に回避なんて不要と考えていた結は見事なまでにパック達に集られてしまい、そのままパック達の押し競饅頭に巻き込まれてしまった。 「ふふんっ! 私を蒸し焼きにしようとしても無駄よ!」 当然、無敵の防護幕が灼熱を通すわけがない。結は後はこのまま立っていれば勝手にパック達は自滅すると考えていた。 だが、ここで無敵の防御幕に異変が起きる。段々と結の周囲が暑くなってきたのだ。 「あ、あれ? なんだか段々熱くなってきたわ……。まさか、ユーベルコード封じ効果が発動してる? ……まぁ大丈夫よね、私ヒーローだし!」 無敵の防御膜が封じられている可能性に気が付く結。しかし、ここで防御膜の能力に疑問を抱けばそれこそ防御膜の効果がなくなってしまう。 故に問題はないと必死に取り繕う結であったがその体は既に汗だくになっていた。 「みんな! そろそろ離れるよ!」 パックの掛け声を合図に押し競饅頭が終わり、パック達は猛スピードで退避を始めた。よくよく見ればパック達の纏う蜜蝋の鎧が溶けており中には途中で墜落しそのまま樹木となる者までいた。 このままではまた膠着状態に陥ると考えた結は咄嗟に追撃をかけようとする。しかし、突如として足が滑り結は顔面から勢いよく地面に激突してしまった。 「いたた……足を滑らせるなんてついていないわ……ね? な、なんで私の脚が樹木化しているのよ!?」 結は地面に強打して赤くなった鼻を摩りながら足元を見ようとして驚愕する。何故なら結の脚が樹皮の様に変質した上で蝋液に塗れていたからだ。 防御膜が機能している以上、結の脚が樹皮の様に編汁する事は勿論の事、脚が蝋液に塗れる事もあり得ない筈なのだ。 「まさか無敵の防御幕が破られたとでもいうの?! き、きっと気のせいよ!」 ここにきて結は自身の無敵の防御膜の効果に疑問を抱いてしまう。それは周囲を胞子に囲まれた状況下では致命的であった。 疑問を抱かれてしまった防御膜では胞子を防ぐ事が出来ず、結の皮膚が凄まじい勢いで樹皮状に変質してゆく。 「無敵の防御膜が……やぶられるわけ……が…………。」」 もはやまともに動く事の出来なくなった結だがこの期に及んで防御膜に問題はないと自分に言い聞かせていた。しかし、一度効果に疑問を抱かれてしまった防御膜が結を守る事はない。 胞子を全身に浴びた上に大量の胞子を吸い込んでしまった結はそのまま四つん這いの姿勢で樹木となり地に根を張ってしまった。 「わたしたちのかちだね!」 「しょーりのびしゅをあじわうよ!」 暫くして蜜蝋の鎧の修繕を終わらせたパック達が樹木と化した結の元へと集まり始めた。 そして、徐に結のツインテールの分け目だった部分へストロー状の針を突き刺すとそこから樹液を採取し小さな宴を始めるのであった。 ディナ・サーペント ● 「生き物を、樹に変えちゃう胞子か……不思議だね。仕組みとか、ちょっと興味あるかも」 ディナ・サーペント(海賊を志す者・f26523)は丘の至る所を漂う胞子を興味深く見つめる。 この胞子がどのような作用によって皮膚を樹皮へと変質させ、如何にして内部構造を樹木のそれへと改造してゆくのか好奇心が沸き上がって来る。 ここでディナが胞子に触れれば身をもってその仕組みを知る事が出来るかもしれない。しかし、今のディナは猟兵として世界の破滅を防ぐ為に先に進まなければならない。 故にディナは自身の好奇心に負ける前にこの区域を制圧する為に行動を始める。 「まずは胞子を吸わないように、触らないように、戦おう」 この区域で戦うには胞子に触れない為の対策が必要になる。ディナはそれを実現する者としてアイスゴーレムの生成を始めた。 手始めにシンプルな構造だがディナの背丈を優に超える巨大な四肢が形成された。続けてディナが空高くジャンプすればディナを閉じ込めるかのように巨大な箱型の氷が形成され四肢と合体した。 そして、最後に箱型の胴体から海賊が被る角突き兜を模した頭部が形成されて3mを優に超える巨体のアイスゴーレムが完成した。 『レッツゴー』 アイスゴーレムの胴体の中で膝を抱えて座るディナが号令をかければ、アイスゴーレムは両腕をあげて声なき咆哮をあげた後に丘を突き進み始めた。 ● 「なんかすごくおおきいのがきたよ!」 「とりあえず、みつろうでうごきをとめるよ! みつろうがかたまっちゃってる!?」 アイスゴーレムを発見したパック達はゴーレムの周囲を飛び回りながら蜜蝋玉による攻撃を開始する。しかし、蜜蝋玉は冷たい氷の塊であるアイスゴーレムが放つ冷気により瞬く間に固まってゆく。 お陰でゴーレムに着弾する頃には蜜蝋玉は硬い蜜蝋の塊になり、時折ゴーレムの表面にめり込む事はあってもゴーレムの動きを止める事が出来ない。 「みつろうがダメならハチだんごさくせんでこおりをとかすよ! つめたいよ!」 蜜蝋玉に効果がない事を悟ったパック達は今度はゴーレムの頭部に集団で取りつき、押し競饅頭で氷を溶かそうとした。だが、アイスゴーレムはパック達の何倍も巨大な上に強烈な冷気を放っている。 なのでパック達がいくら頑張っても一向に熱くならず、頭で姦しく騒ぐパック達を鬱陶しく思った巨人に払いのけられてしまった。 「たすけて! アピスくん!」 「■■■■■!!! ■■■!!?」 対抗手段のなくなったパック達はアピスドラゴン達に助けを求めた。この区域に居座ってから全然出番のなかったアピスドラゴン達は喜びの咆哮をあげてアイスゴーレルへと突撃する。 だが、ドラゴンとしてはかなり小型なアピスドラゴンでは巨大なアイスゴーレムに軽い傷をつける程度しか出来ない。それどころか中途半端に大きいのが災いしてアイスゴーレムの強烈なパンチとキックに晒されてしまう。 悲しいかな、アピスドラゴン達はアイスゴーレムに蹴散らされてしまう。最終的にパック達はアピスゴラゴン達を抱えて逃げ出すのであった。 「逃げられちゃった……。まぁ、歩き回っていればまた別の集団に会えるかな?」 アイスゴーレムの融資を特等席から眺めていたディナは逃げていくパック達をただただ見送る。後を追いかけたくても動きの襲いアイスゴーレムでは追い付けない。 逃げたパック達を追う事を諦めたディナは再びアイスゴーレムの行進を再開させようとした。だが、ここでアイスゴーレムに異変が起きる。 バキっ! バキキっ! 「……っ? なんだろう、舌の方から聞こえてている様だけど……っ!?」 下から何かが砕けるような音が聞こえてきた為に下を覗き込んだディナは驚愕する。なんと、アイスゴーレムの脚が少しずつ樹木化してきていたのだ。 アイスゴーレムの体が透明なために図らずも樹木化の進行過程を観察できたのだが、問題は樹木化が段々と上に進行してきている事だ。 「……油断した。胞子に触れたゴーレムが、樹木化するなんて、予想外。」 このままでは樹木化したアイスゴーレムに閉じ込められてしまう。いや、それだけならまだマシで下手すると自分も巻き込まれて一緒に樹木化してしまうかもしれない。 ディナは慌ててアイスゴーレムの胴体から脱出した。間一髪、ディナが胴体から出た瞬間に胴体部も樹木化の波に飲み込まれていった。 そして、無事に脱出に成功したディナが後ろを振り向けばそこには巨大な木像となり機能を停止したアイスゴーレムの姿があった。 「閉じ込められる前に、外に出たけど、私が胞子にやられるのは、時間の問題か……。」 アイスゴーレムが全く動かなくなった事を確認したディナは改めて周囲を見渡す。幸いにもパック達はアイスゴーレムの活躍によりこの周辺一帯から逃げた様で影も形も見当たらない。 しかし、周囲にはキノコの胞子が充満しておりどう足掻いても逃れる事は出来そうになかった。今から新たなアイスゴーレムを作ろうにも胴体部が完成する前にディナは胞子に触れてしまうだろう。 「まあでも、樹になるなんて中々体験できないし、これはこれで……。」 悩んだ末にディナは樹木化する事を受け入れる事にした。ここに来るまでに沢山のアピスドラゴンを倒したし、改修後に起こられる事はないだろう。 ディナはアイスゴーレムであった木造に寄りかかるとゆっくりと腰かけた。 「ゆっくり休もう。たぶん、きっとなんとかなるから……。」 そして、ディナはキノコの胞子の毒により樹木へと成り果てるのであった。 ラニー・インレビット ● 「この魔物達も巡り巡ってまだ見ぬアリス様の脅威となるやもしれません。」 メラニー・インレビット(クロックストッパー・f20168)は高空を騒がしく飛び回るパック達を見上げ、その脅威を認識する。 もしもあの魔物たちがアリスラビリンスに辿り着いてしまえば、メラニーの助けを求めるアリス達が蜜蝋人形にされたり焼き殺されてしまうかもしれない。 過去に数多のアリス達をオウガに殺されてきた。そんなメラニーにとって、僅かでもアリスを害する可能性がある存在を許容できるわけがない。 「アリス様の脅威になるのならば排除せねば。」 故にメラニーにはパック達を排除する以外の選択は残されていない。 メラニーは厚手の外蓑とグリモア猟兵との交渉の末に手に入れたガスマスクで胞子に対する防備を固めると上空を飛び回る脅威を駆除する為に動き始めるのであった。 ● 「みんな! あんなところにりょーへいがいるよ!」 「なんかへんなのかぶってるよ!」 メラニーの存在に気が付いたパック達がメラニーを樹木に変える為に近づいてきた。だが、メラニーは特に慌てる事無くパック達に向けて歩み寄ってゆく。 パック達はメラニーの動きを封じようと次々と蜜蝋玉を投げつけていく。だが、メラニーはそれを避けようとはしない。 流石のパック達も全く抵抗する様子のないメラニーに困惑した。それでも楽に樹液を飲めるようになるからいいかと直に気にする事を止めた。 「これだけあびせればにげることなんてできないよね!」 「それじゃあ、つぎはかおにかぶっているへんなものをとっちゃおー!」 蜜蝋玉を全く避けようとしなかったメラニーは下半身が完全に固まって一歩も動けなくなっていた。しかし、メラニーは動じない。 何故ならメラニーは既にパック達を確実に排除する為の必殺の準備が終わっているからだ。 『さあ、お休みになられる時間でございますよ。』 「ふぇ? なにこれ……なんだか……ねむく……ぐぅ……。」 パック達がストロー片手にメラニーのガスマスクを取ろうと近づいた瞬間、メラニーを中心に不思議な波動が放たれた。 不思議な波動はパック達やアピスドラゴンに触れると次々と墜落してゆく。そして、地に落ちたパック達からは気持ちよさそうな寝息が聞こえて来た。 メラニーの放った体内時計を狂わせる波動によってパック達は強制的に睡眠状態に移行したのだ。 「ご自慢の鎧も物理的な攻撃には強くとも、精神への干渉までは防げますまい。」 メラニーは蜜蝋に拘束されながらも淡々と地に落ちたパック達へと語り掛ける。地に落ちたパック達が胞子に包まれてゆく。 「そしてオブリビオンであっても呼吸を必要とする存在であれば、眠っている間まで呼吸を止める事など出来はしないのでございます。」 メラニーは幸せそうに眠るパック達に生物ならまず逃れる事の出来ない道理を説いていく。地に落ちたパック達が樹木へと変化してゆく。 「どうぞおやすみなさいませ。」 そして、メラニーはアリスを害するかもしれない存在達に死の宣告をする。だが、既に地に落ちたパック達は一人残らず樹木と成り果てていた。 「今頃はご自身が樹となる夢でもご覧になられているのでございましょうか?」 殺戮刃物を器用に使い蜜蝋を砕いたメラニーはパックであった樹木を一瞥すると、更なるアリスの脅威を配乗する為に移動を始めるのであった。
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