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心境の変化
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バス停は『自分を落とした落とし主』を探すことを辞めたわけではないが 本人曰く"それほど重要なことじゃなくなった"という。 (発見に至れたら、文句をぶち撒けてとりあえずぶん殴るだろうけれど) 本体を、"戦闘に正しく使ってもらった"からか、何かを満足したらしい。 使われる方が合っている、と結論を得て ……"生まれてから今まで正しく誰かに使われたことがなかった"歴史を、無事に終えた。 何度でもどこででも使ってくれる方が嬉しいが バス停なんて奇妙なものが、そう我儘をいうべきではないことも理解が在る。 故に、"一番使い方を正しく使う者"に 勝手な都合を押し付けるマーキング(転送術式)を付けて"本体を召喚武器化"する事で手を打った。 "必要なら喚べばいい" "アンタの不慮の事故を護れるなら、本望だ" "武器なんだから、壊れることをはあるだろうけど……アンタが使って死ぬなら後悔はないよ" 勝手なマーキングを施した相手は勝手な客だから、生涯使われる事はないかもしれない。 それでも、バス停は構わなかった。 とても短い人間歴の1年と、とても長いモノ時代を思えば…… 遠く遥かな未来でも、"いつかの訪れを"待つ事をそう苦だとも、思えなかったから。 【2020/09/24〜】 本体を転送するマーキングとは少し異なる趣向のストラップが作られた。 『喚ばれたら応える』の姿勢はそのまま。 ストラップを持つ相手の緊急時には、座標目指してグリモア起動無しで時空を跳ぶ荒業。 ヒトが無理やり跳ぶには簡易術式だけでは通用しないので、ユーベルコードの一部に自分を組み込んでいる。 己がモノであることを利用して、擬似的に『召喚獣』化する術を編み出したのだとか。 モノは考えよう。定義を変えて、順応すればいい。 武器が召喚(転送)できると実証した。 ならば――武器生まれのこの身もまた、いかなる姿を得ても自由意志の在る武器である。 これに至った理由として……何度か言葉をかわしていた"ある客"の旅路には、悪路を進む"足"が必要だとバス停は考えたらしい。余計なお世話だとは複雑な気持ちを胸に、理解が在る。 ――俺を使って(呼んで)くれたら、いいな。 呼ばれ(喚ばれ)なくてもそれはそれで、構わなかった。"ある客"は己の足で歩むものだ。 バス停はバスとして、気まぐれな猫の手を貸せるようにしただけ。 "ある客"は一人で事を為せる強気者――それだけのことだ。 【2020/12/24〜】 "本体の召喚武器化"の唯一のマーキングが消えた、そんな気配が在る。 唯一の、心の在り処を――見失った。 目印を見失っては広い世界で一人を、匂いだけを頼りに探せる自信は、ない。 じわじわ感じる喪失感は、虚無感に似ている。 ――いつか。自分はそうなるのだと、少なからず……想っていた。 ヒトを心から信じるのは……やはり、怖い(恐い)な……。
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