PBWめも
青春の1ページ
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「だーもう、わかんねぇー!!」 「もうちょっとだぞ、夏輝。がんばろー」 ちらほら星の見え始めた夕暮れ時。 席を合わせ向かい合う僕と夏輝の目の前に広がるのは、 前回のテストで見事揃って0点を叩き出した悪夢の数学の課題表。 さっきまでは、全教科オール満点、クラストップの成績を叩き出した澪に教えてもらってたから、僕と夏輝の頭の出来にしてはサクサク進んでいたけど。 流石に僕や夏輝みたいな暇人と違って家庭事情もある澪は残れる時間も限られちゃうから。 可愛くてか弱い澪きゅんを夜遅くに一人で帰すのは危ない!! という夏輝の説得により、僕らへの差し入れとして色々買ってくれた後に退散した。 (夏輝はその後一発殴られてた) 課題の残りはあと1ページ。なんとか終わりは見えてきている。 同時に制限時間も見えてきている。 最後の部活動組が返り始めたら、帰り支度の合図。 「流石に家に持ち帰ってまでやりたくねぇなぁ……」 「れも明日提出らしなー」 「一日で終わらない量出すんじゃねぇよ馬鹿担任」 「ふつーは終わるんらねー? れいとか」 「澪とは頭の出来が違うんだってぇ……っておいコラ、さっきから何食ってんだよ」 「おにぎり」 「俺だって腹減ってんの我慢してんだから抜けがけすんじゃねぇよパリパリパリパリ良い音させやがってー!」 「ぬー! いいじゃん、せっかく貰ったんだから、しけないうちに食べなきゃ勿体ないだろー!」 「もー俺も食うから! 袋ごと持ってくんじゃねぇよこせ」 「はい」 僕の食欲に気を使ってくれたんだろうか。 二人で食べるにはいささか多そうにも見えるおにぎりの山の中から適当に見繕い、片手でお腹を満たしながら片手でシャーペンを走らせる。 コーラは僕に、ファンタオレンジは夏輝に。 口に含むとしゅわしゅわとしびれるような刺激が、頭を少しだけサッパリさせてくれるような気がする。 気がするだけかもしれないけど。 「つかさ」 「んー?」 「俺ん家はほぼ放任だから別にいいけど、お前まで無理に残らなくてもいいんだぞ? 夜食は家族でって決めてるんだろ? さっきから最後の一問解かないで止めてるし、なんか絵……絵? ……なんか描いてて進めてねぇじゃん」 「絵に疑問持つなよー、猫だぞ」 「これ猫!? い、いや、随分下手……じゃなくて、芸術的過ぎて……」 残り1ページ、開かれた課題表、走るシャーペン。 同じ構図でも違うのは、その表に書き込んでいるもの。 夏輝は真面目に数式を。 僕はかわいい(自称)猫を。 もちろん後で消しゴムで隠蔽するため、紙に跡を残さない程度の筆圧で。 僕って頭いいー。 「無理に残ってるわけじゃねぇよー。 家族で夜食も、別に決めてるわけじゃなくて、うち皆いっぱい食うから、バラけると洗いもん大変だからってだけー」 「あ、そういう理由」 「連絡も入れてるし。 それに、僕が夏輝と勉強したいだけだから、いいんだー」 夏輝がいるから、夏輝と一緒だから。 つまんなくて頭痛くなるだけの勉強も、少しだけ楽しくなるんだ。 どんなにわかりやすい指導も、きっと僕には意味が無い。 夏輝が僕の動力源だから。一緒にいなきゃやる気が出ない。 「ふーん……まぁいいけど。 お前絵描いてるくらいだし、どうせ最後の問題もわかってんだろ?」 「うん」 「ちょ、だったら教えろって! 俺マジで、真面目に止まってっから! 一緒に解いて一緒に帰ろうぜー?」 「んじゃ、帰ったら空いた時間、オンライン対戦しようぜー。 夏輝は一問教えるごとに、ハンデ一個なー」 「うげ、マジかよ……」 1秒でも一緒にいたくて、どうしたら構ってもらえるかって。 僕がいつも考えてること、夏輝は全然知らないんだろうな。 夏輝の笑顔に、言葉に、行動に。 僕がどれだけ救われてるか、なにもわかってないんだろうな。 誰にでも同じ。夏輝にとっては当たり前の事をしてるだけ。 僕なんて沢山居る友達のうちのたった1人にすぎないから。 でも、今はまだそれでいいんだ。 夏輝は僕の太陽だから、困らせるのは本意じゃない。 あの2人って、凄く仲がいいねって。 周りからそう思ってもらえるような、そんな大親友になれたら。 どんな形でも特別になれたら、それだけで、じゅーぶん。 「夏輝ぃ、ここついさっき、澪に教わった式だぞー?」 「え、マジで?」 「あー、もしや聞いてなかったなー? 明日澪に言ってやろー」 「ちーがうって! 馬鹿なの! 俺!! 聞いてたから!!」 「とりあたまだもんなー」 「お前に言われたらなんか腹立つ」 いっぱい一緒に馬鹿やって、学生生活満喫して。 卒業までに夏輝に恋人が出来なかったら、こっそり教えるんだ。 もしも恋人いたら、大きくなってから。 いつもみたいに通話繋いでゲームしながら、どさくさ紛れで伝えてやる。 ムードもへったくれもないから、夏輝が聞き流せるように。 ほんとはあの頃、お前の事好きだったんだぞ、って
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