理由

作成日時: 2020/03/12 19:37:54

「鉄馬君ってさぁ」

鉄馬
「あぁ」


「モテるよね」

鉄馬
「あ? ……そうか?」


「モテるじゃん」

鉄馬
「……おう」


「元ヤンって言ったって訳ありみたいだし、どちらかと言えば正義の人じゃん?
 見た目だってかっこいいし、可愛い幼馴染だっているわけだし。
 まだ仲いいんでしょ?」

鉄馬
「まぁ、な」


「なんで僕なの?」

鉄馬
「……なんでったってな」


「鉄馬君、女の子には困らなそうなのに。なんで僕なの?
 僕男だしチビだし、特別可愛いわけでもないのに」

鉄馬
「……別に、見た目にゃ興味ねぇんだよな」


「えっ」

鉄馬
「いや、そういう意味じゃなくて。
 性別とか、容姿とか、そういうもんで選んだんじゃねぇんだよ」


「……じゃあ」

鉄馬
「ただ、護りてぇと思った。傍にいてやりたいと思った。
 それがたまたま、お前だった。
 気が付いたら好きになってた、それだけだ。
 誰かを護りたいと思うのも、好きになるのも、理由なんかいらねぇだろ。
 俺の心が、お前を選んだ。それだけだ」


「……」

鉄馬
「まだ不満か?」


「……理由になってない」

鉄馬
「そうだな」


「でも……言いたいことは、わかった」

鉄馬
「そりゃよかった。で? 話したいことは」


「傍にいてくれれば、いい」

鉄馬
「りょーかい。あんま思いつめんなよ」


「ん……ごめん」

鉄馬
「そこはありがとうだろ」


「ありがと」
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作成日時:
2020/03/12 19:37:54
最終更新日時:
2020/03/12 19:37:54
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