――わかっていたはずなのよ。
あんな国なんてもう存在しない。
私が滅ぼしたんだから。
レジスタンスを引き連れて、私が滅ぼした。
虐殺、蹂躙、殲滅――私の知り合いがやられたことをみんなしてやった。
――でも、なんで?
この心に残るモヤモヤは、何?
父様は「ウイルスを除去するため」と言っていた。
それはどういうことなの?
――ああ、やっとわかった。
私がしていたのは、単なる逆恨みだ。
そこに正義なんて存在しない。
父様のしていたのは、確かに恨まれるようなものかもしれない。
でも、平穏を維持するための正義がそこにはあったのね。
――所詮正義は正義同士ぶつかり合う。
でも私は正義もなしに血に汚れてしまった。
こんな私が天国に行けるわけがない。
私はただの「荒らし」だったから。
――だった?
――そう。
――じゃあ、今からでも変わればいい。
今度こそ正しい力を身につけて。
「荒らし」ではなく、「嵐」として。
正義の蹂躙、正義の殲滅、それを見せればいい。
――ま、その正義も、私の主観でしかないけどね。
なんだ、していること父様と変わりないじゃない。
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