その日のことを、覚えている
目が覚めた、そんな感覚がした
自分に、手があった
手の中には、自分が握られていた
……そして、目の前には、潰された一族の1人の死体があった
自分は、ゆっくり歩いていたと思う
一族に見つかる度、自分は、それを殺していった
本体を巨大化させ、首や頭、時には全身ごと潰した
見かけた一族、老若男女関係なしに
そう、子どもも、女性も、関係なしに
頭は、冷静に考えていた
これに、意味は在るのかと
でも、どう考えても、意味なんて無かった
確かに、主を殺された
でも、その当事者はすでに死んでいるし、自分も、加害者の側だ
確かに、自分は手荒く扱われた
でも、意思ないはずの器物をどう扱おうが、主の自由だ
ならやっぱり、これに意味は無く
つまりは、ただの八つ当たりだった
多くの一族は、自分から逃げようとするだけだった
でも、時には、立ち向かってくるもの達もいた
覚えている
ナイフを手に、様々な暗器を扱ってきた者がいた
焼き鏝を手に、融かそうとしてきた者がいた
膝砕きを手に、四肢を潰そうとしてきた者がいた
重石を手に、押しつぶそうとしてきた者がいた
スタンガンを手に、電撃で気絶させようとしてきた者がいた
猫鞭を手に、距離を保ちつつ、攻撃してきた者がいた
毒湯を手に、毒を流し、動きを封じようとしてきた者がいた
それでも、100年分の怨念は、全ての攻撃をものともせず
皆、全て、潰してきた
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