エリーズ・シャティヨン 設定

作成日時: 2025/11/06 23:56:21
名前:エリーズ・シャティヨン
家族構成:父、母、兄、姉二人
趣味:読書、星空観察、お菓子作り
特技:特になし
好き:玲瓏、甘いもの、静かな場所、綺麗な場所
嫌い:神様、宗教、拷問、争い、裏切り
苦手:感情表現、玲瓏以外とのコミュニケーション
怖い:玲瓏を失うこと、昔のような日々に戻ること
最近の悩み:玲瓏が危ない仕事をしていることが心配
欠落:感情
Anker:不明

性格:


背景:
天上界で由緒正しいセレスティアルの一族の元に生まれた少女。両親と兄、姉二人の六人家族の末っ子として生まれ、幼少期は裕福な家庭で育った。幼い頃は両親や兄、姉たちとも仲が良く、家族仲は良好だった。両親や兄、姉たちからたくさんの愛情を受け、彼女は明るく優しい少女として育っていた。だが、エリーズが成長するにつれて、家族とエリーズとの仲は次第に悪くなっていった。

その原因は、彼女の背中に生えた羽がある時期から全く成長しなくなったことだった。彼女の暮らす地域では、羽が大きくなり、空が飛べるようになって初めて一人前という風習があった。そのため、羽が小さい者や空を飛べない者は見下され、虐げられるのが普通だった。エリーズの羽は周囲の人と比べてひとまわり以上も小さく、自分の体重を支えられないため、空を飛ぶこともできなかった。

ある時期から彼女の羽が成長しなくなると、今まで普通に接していた周囲の人は次第にエリーズを避けるようになっていった。仲の良かった家族は、彼女の羽が成長していないことを知ると、途端に態度を変え始めた。彼女の家は地域の中でも由緒正しい名家で、両親は世間体を酷く気にしていた。そのため、自分たちの子どもが「出来損ない」であることが許せず、エリーズをいないものとして扱うようになった。兄や姉たちは、最初の頃こそ彼女を気にかけていたが、両親や周囲からの圧力を受け、次第に冷たい態度を取るようになっていった。通っていた学校で仲の良かった友人たちにも避けられるようになり、逆に羽が小さい、空が飛べない、という理由でいじめに近い嫌がらせを受けるようになった。今まで普通に接していた知り合いや近所の人々からもあからさまに避けられ、様々な噂をされるようになった。

そんな孤独な日々を過ごしていたある日、天上界で失楽園戦争が起きた。失楽園戦争によって崩壊し始めた天上界から逃げる際に、彼女は家族と散り散りになってしまい、空を飛ぶことができない彼女は地上に降りることができなかった。目の前で崩れ落ちていく故郷を見つめながら、ここで死ぬのだろうと、彼女は全てを諦めた。次の瞬間、彼女の前に大きく美しい竜が現れた。その竜は彼女を背に乗せて空を飛び、地上まで送り届けてくれた。こうして、エリーズは失楽園戦争を生き延びた。

地上に降り立った後、彼女はとある教会の司教を名乗る男に保護され、教会の聖女となった。その地域では、竜を神として崇める宗教が広く信仰されていた。そのため、あの日彼女が竜の背に乗って地上に降り立った光景を目撃した多くの人々は、その見た目もあってか、彼女のことを「竜が遣わした聖女」だと崇め始めた。住んでいた天上界が崩壊し、家族とも離れ離れになって行く宛てのなかった彼女は、聖女として教会で生活し始めた。

だが、教会での生活は平穏とは程遠いものだった。教会は地域一帯を支配している権力組織のひとつであり、都合よく現れたエリーズを利用して自分たちの勢力をさらに拡大しようと企んでいた。そのため、彼女の自由を奪い、自分たちに従うように半ば洗脳に近い教育を受けさせた。少しでも逆らったり口答えしたりすれば、エリーズは躾という名目で暴力を振るわれた。また、教会に少しでも反発する人々が連れてこられて酷い扱いを受けている場面を、彼女は毎日のように目にすることになった。そんな環境で過ごすうちに、彼女の精神は次第に擦り減っていき、いつしかただ言われたことに従うだけの人形のようになってしまった。

そんな状態のまま、いくつもの季節が通り過ぎたある年、エリーズの暮らす地域は自然災害による飢餓に見舞われた。その地域で暮らす人々は飢えに苦しみ、地域を支配している教会にも民たちの不満が募り始めていた。しかし、自分たちの利益のことばかり考えており、飢餓を解決する術を持たない教会は、一時しのぎとしてその土地で崇められている竜に聖女であるエリーズを生贄として捧げることにした。全てを諦めていた彼女は教会に言われるがまま、生贄として神殿で長い眠りにつくこととなった。彼女が生贄として神殿で眠りについた後、不思議なことにその土地は自然災害に見舞われることもなくなり、恵まれた土地へと姿を変えた。偶然か、はたまた奇跡か、彼女はその地域を救った聖女として、さらに民たちから崇められるようになった。

気の遠くなるような長い年月が過ぎ去った後、その神殿で死ぬまで眠り続けるはずだった彼女は目を覚ました。神殿は長い間手入れされていないのか、風化して所々崩れ、緑に覆われていた。長い間、人が訪れていないのは目に見えて分かる状態だった。あれからどのくらいの時間が経ったのか、なぜ自分が目を覚ましたのか…そんなことをぼんやりと考えていると、いつの間にか部屋の中に現れたスーツの男性に声を掛けられた。明らかに教会の人間でない彼は、依頼を受けて彼女を殺しに来た暗殺者だった。そのことを伝えられた彼女は、死すらもそのまま受け入れようとした。

そんな彼に、「死ぬのが怖くないのかい?」「ここから逃げる気はないかい?」と聞かれ、「逃げる気があるなら手を貸すよ」と言われ、彼女は心底驚いた。今まで逃げたいと考えたことはあっても、実際に行動に移したことはなかった。それまで逃げ出した者の末路は、決まって悲惨なものだったからだ。そんな状態だったからこそ、自分に一緒に逃げようと言ってくる人はひとりもいなかった。それなのに、まさか自分を殺しに来たはずの人に逃げようなんて言われるとは思わなかった。




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