あたい？あたいの話なんてこれっぽっちも楽しいことないわよ。
でも、そうね。
過去の思い出を振り返るのは大事よね。

あたいは、
起きたら小さな女の子だけだったの。
もちろん、今も昔も小さな女の子だわ。
でも、だけ なの。
女の子はお父さんとお母さんがいるじゃない？
でも、あたいの知るかぎりではいなかった。
だから、あたいはまずお庭に両親のお墓を作ったわ。
いないなら、作ってあげなきゃね。

そこからやったことは明々白々。
生活するにはお金が必要。
幸い、引き戸に少しお金がはいっていたの。
それでレモンの木と裁縫道具を買ったわ。
レモンが採れれば、レモネードにして売れるでしょう？
そして幸いなことに、あたいは手先が器用だった。
針仕事やります って張り出したおかげで、生活できているのよ。

ありがたいことに、お家はばーさんが貸してくれた。
緑色でしわくちゃのばーさんよ。
怒りっぽくて理屈くさいけど、親切だった。
今？もちろん、生きているわよ。
ただ、年齢が年齢だから、島の病院で入院しているわ。



刻逆前のこと？すこし覚えているわ。
あたいを継ぎ接ぎした、ネジレ博士。そんでその奥さんのマギー。そこでお手伝いさんみたいに過ごしていたの。
このマギーがうるさいったらなんの。
あたい、お掃除にあそこまでケチつける人間初めてだった。
博士はいつも部屋にこもってたわ。
部屋から出てきても、長い手足が絡まってものを解いてくれ、って頼まれるくらいだったわね。
そう思うと、平和そう？まさか！
自由に過ごせないなら、人間死んでいるようなものよ。あたいは死んでるけど。

そこで、嵐が来るまで過ごしていたわね。
近くに博識なおじさんと■■■■も住んでいたわ。
おじさんと博士は仲良しだったから、来ている時は■■■■と遊んだの。よく泣く弱虫で楽しかったさ。


これくらいかしら？
久しぶりに過去の思い出を振り返って有意義な時間だったさ。

さて、そろそろお散歩の時間だからさようなら。
あたいの日課なの。
サングラスに、ハモニカに、おしゃれなハンカチ。
あと念のためのシャベルも持って、
それじゃあ、また。