ヒューグリーム決戦の悪魔

作成日時: 2021/08/12 01:32:45
ライアン・フルスタンド、本名イルイージ・コフラックエイク。
ガルメリッサ領の支配階級の生まれであったが、実父の起こした大規模クーデターに巻き込まれる前に叔父と逃走、ヒューグリーム領に渡る。
しばらくは叔父とその支援者である赤公爵のお陰で、辺境の村で問題なく暮らしていた。
しかしガルメリッサ領の侵攻が始まると戦禍は村にも及び、逃走の為に量産型キャバリアを改良し続けたエリスを使用したことでヒューグリーム領の支配階級に捕まり、叔父と離れ離れとなる。
生き残る為に反ガルメリッサを掲げた連合軍、とは名ばかりのごろつき集団『月光騎士団』に所属し敵となった友人血族含むガルメリッサ軍と死闘を繰り広げた。
後に叔父と再会後、自身の活躍がガルメリッサ軍による侵略行為に正当性を与えていると指摘され、反目する。
事実、月光騎士団に所属する歩兵隊は略奪行為を繰り返しており、周辺国から排除すべき賊と見なされていた。
それでもガルメリッサ領から敵性分子とされては生き残る為に月光騎士団から離れられず、結果として次々と戦果を挙げ、月光騎士団は増長、巨大組織となり略奪行為も激しさを増していく。
イルイージの存在がガルメリッサ軍に踏み潰されるはずだった月光騎士団を強め、バランスを崩したとして叔父は赤公爵と共にイルイージを廃棄エネルギープラントに誘きだし決闘を行う。
支援機を赤公爵に奪われ、エリスと同性能のマルスに搭乗した叔父とそれに合体した赤公爵であったが、激戦を通して成長を続ける若き才能の前に敗れた。
戦闘後に両者は死亡し、唯一の理解者であった叔父の喪失と心を開いていた赤公爵の娘に憎悪され、イルイージは孤独に追い詰められていく事となる。
月光騎士団とガルメリッサ軍の戦いが激しさを増す中、中心メンバーの離反と同時に彼らの持つ情報が軍へ渡り、敗戦を繰り返していく事に。
イルイージもまた訪れた補給施設に張り込まれ、仲間に見捨てられ軍刑務所へと送られた。その際、知り合った指揮官に息子と同じ歳であったことから同情され、エリスのパイロットと知られていない事もあり彼の手引きにより脱出。
イルイージはその際、指揮官が極秘裏に護送していたクロムキャバリアを強奪、責任を負うべく追撃する彼と戦い、その命を奪った。イルイージ自身はその事を深く後悔しているが自身を奮起させる為に悪いのは自分ではない、死んだ相手が弱いから悪いのだと結論。それが今日までの彼の人格を決定付けた。
イルイージが月光騎士団に帰還するまでエリスは月光騎士団預かり、赤公爵の娘が搭乗していた。
生死を潜り戦士の目となった娘はそれでもイルイージを受け入れず、また彼が強奪したクロムキャバリアの信号を追って現れたガルメリッサ軍と交戦、死亡している。
逃亡生活によりクロムキャバリア整備の為、出撃までの時間を要したイルイージは怒りのまま敵部隊を蹂躙したが、激しい操縦に機体各所がついていけずに関節部分が破損、逃走する軍を追撃できず情報を持ち去られてしまった。
逃走を続ける月光騎士団は始まりの地であるヒューグリームを目指すも、そこに張り込むガルメリッサ軍の存在を探知、次の衝突が最期になると離反する者が続出した。その中でキャバリア操縦に長けた現場指揮官も離反組との衝突から殺害されてしまい、組織としての体を失ってしまう。
崩壊した月光騎士団の中でも帰る場所がなく、また腕に覚えのある者だけが残りイルイージを筆頭にガルメリッサ軍の包囲網を突破し、ヒューグリーム領に潜伏、又は脱出の為に死地へ赴いた。
圧倒的戦力差を前に味方機が次々と撃墜される中、クロムキャバリアの性能をいかんなく発揮したイルイージにより戦況は一変、ガルメリッサ軍を撃破しヒューグリーム領へ帰還する。
悪魔のような姿に恐れ戦いた生き残りのガルメリッサ軍は逃走したかに見えたが、それは戦略であった。
ヒューグリーム領と密約を交わしていたガルメリッサ領の新たな王であるイルイージの父と共に親衛隊機が領内に予め潜伏、油断した月光騎士団を撃墜する。
最後の戦いを制するべく父と親衛隊に斬り込むイルイージだったがすでにぼろぼろの機体で勝利などあり得ず、奮闘も虚しく破壊された。
だが彼自身はヒューグリーム領民に救われ、ガルメリッサ領や支配階級からの追跡の目をかわす事に成功する。
多大な被害と喪失を経て、ガルメリッサ領は周辺地域を掌握、月光騎士団という悪を粉砕した正義を戴冠した。
これにより世界に居場所を無くしたイルイージはヒューグリーム領を脱出、更には猟兵として覚醒し別世界へ逃走、ライアン・フルスタンドを名乗るようになる。
大抵の物に名付ける際、神話を参照したりする為からかわれ易い。

使用キャバリア
●エリス
ライアンが主な整備と改造を行い、当初の形は見る影も無くなった『オーバーメイド』量産型キャバリア。ゼロから造り直されたような機能は各関節の可動域も広く、彼用に運動性能を上げて回避能力を高めた構成となる。
各部位の換装により白兵戦特化、砲撃特化、機動力特化と様々な運用が可能である。
姉妹機のマルスとはほぼ同性能であるが、換装能力を排した代わりに強度を高めたマルスと違い、『ガルトゥーウの牙』を使用できない。
その為、オーバーフレーム換装により白兵戦用鋼線保護斬撃剣『ビームコーティングブレイド』を使用するものの、頑強さを重視した為に斬撃よりも打撃、剣の形をした鈍器となり機体に負担がかかりやすくなってしまった。
マルスと同じく支援機であるフライトユニット、『エレレ』による飛行能力の獲得が可能。
また補助動力炉を得ることで粒子兵装にも対応し、ライアンは主にこの装備を愛用している。
また、本形態に限り、超広域殲滅兵器『スリーエル・ライフル』の使用が可能となるが機動力の大幅な低下と一度限りの攻撃も合間って優先的な使用はなく、同等の理由で『ケージ装甲』による防御力、そして『アバラスチア式生体感受レーダー』による迎撃能力を高めた砲撃特化装備もあまり使用されなかった。

●エリス・カスタム・フルプラス(エリスCf+)
ライアン不在の間、赤公爵の娘、ケイト・レイン用に造り直されたエリス。
それまでのエリスはライアン用に調整されていた為に常人にはとても扱えず、高い適性を示したケイトにも扱える代物ではなかった。
その為に各装甲の強化、関節の強化により可動域を下げ、増えた重量をカバーする為にエレレを固定、対粒子兵器拡散装甲『レッド・シール』を塗布し全体的な性能向上に成功。
スリーエル・ライフルの連続使用が可能でライアンが搭乗した際の攻撃力に期待されていたが、その前に撃墜されてしまう。

●エリス・カスタム(エリスC)
破壊されたエリスをライアンが改めて造り直した代物。
全体的な性能はエリスを下回るものの、運動性能を上げている為に彼にとっては使い心地がいいようだ。
新たに制作されたフライトユニット『エレレンメギ』と合体可能で、飛行能力の獲得と戦闘能力の向上が図られている。
ライアンの反射神経に機体反応速度が追いついておらず、特に集団戦では各部の摩耗が激しい。

●マルス
ライアンの叔父が使用していた量産型キャバリア。
元はガルメリッサ軍親衛隊専用機で、当局に感知されないようライアンと協力し見た目を変えた。
マルスを基にエリスはライアンの独力で完成されたが、汎用性を求めた妹機と違い、こちらは白兵戦に秀でた性能を持つ。
特に専用装備であるガルメリッサ領所属親衛隊専用対クロムキャバリア決戦兵器『ガルトゥーウの牙』はマルスでなければ扱えず、巨大な超振動高速回転チェーンソーは、あらゆる装甲を紙の如く引き裂く。
エリスと同じくエレレとの合体機能を持ち、ライアンとの廃棄エネルギープラント決戦ではエレレを奪取、有利な状態で戦闘を進めた。
決戦後、廃棄エネルギープラントに秘匿されたが、後にライアンにより回収されている。
エリスと比較し運動性能の面で劣る反面、各部の強化が施されており装甲も厚く、現在のパイロットであるライアンの使用にも耐えており消耗が少ない。

●オルヴ(正式名称:SSTorv-chronicle)
ガルメリッサ軍の最新式であるクロムキャバリア。ライアンにより強奪され、以降は彼の乗機となる。
戦闘能力、こと攻撃性能においてはエリスCf+を上回る代物ではなかったが、人の運動力学を大いに参考された上で回復機能を有したピコマシン内在特殊装甲『モルト・アーマー』、初の試みとなる超出力の動力炉『恒星エンジン』を搭載と実験的な機体でありながらも高い性能を誇る。
が、恒星エンジンは完成形には程遠く、出力を上げた際は余剰エネルギーを装甲から全方向へ放出するという危険極まりない状態となり、モルト・アーマーによる回復力で無理やりカバーするも、最大出力には到底耐えられない設計となっている。
また、この状態は『ソード・オブ・カリブルヌス・システム(SOCS)』と呼称され、事実、本体そのものが粒子兵器の如く高い戦闘能力を有するようになる。
ライアンは更にこのシステムに変化を加え、エネルギー排出量を制御する事で推進機能へ昇華して見せた。
ライアンの愛機として使用が続くも繊細な機体で細部の損傷・摩耗が酷く、常に修理をしなければ出撃できない機体である。
故に出撃が間に合わない事も多く、月光騎士団敗走の理由のひとつとなった。
ヒューグリーム領での最終決戦では敵軍の六割を単機で撃墜、驚異的な戦績を残したが伏兵に不意を突かれた挙げ句、それまでの機体の疲労もたたり敗北を喫する。
ライアンの身を守ってみせたものの本機は破壊され、深い谷底へと消えた。
そして。

●ダニー
ライアンの新たな乗機であるクロムキャバリア。人工知能が搭載され、ライアンは友人として接している。
ライアンの好みにより運動性を極端に高められているがそれ以外に特徴らしい特徴はなく、武装面では至って平均的。
しかしそれは制限をかけられた状態であり、秘匿された主動力炉スターフォーカスエンジン(SFE)を開放する事で劇的な戦闘能力の向上が可能。ただし不安定かつその出力に本機が耐える為に必要な資材の大量消費により継戦能力が著しく低下する。
また通常時においてライアンの反応速度に十二分に追従する性能を持つが、秘匿していても副動力炉エネルギーインゴットに付随する主動力炉の数値上昇し内部の劣化が激しい。エリス・カスタムと違い性能限界を超えた事で各部が摩耗するのではなく、高稼働する各部の摩耗(使用頻度による劣化)が著しく先述機よりも使用頻度が低い欠点がある。

●ダニー・秘匿動力炉SFE解放形態
SFE解放状態のダニー。
この形態になると『ゾルフ・トーテム』と呼称される機関から常に主動力保護用γ重金属粒子=ゾルフを常に機体内部・周囲に拡散している状態となる。
ゾルフは各部位や炉心を保護する事でSFEの最大出力に耐えるよう炉心内部を保護するものの常に燃焼されており、トーテムによる生産資材が間に合わない事が継戦能力低下の主な理由。
また解放後に頭部から露出する白い毛髪のような機関の名は拡散するゾルフへ信号を送る無線情報伝達塔『ゾルフ・ファイバー』。
機体内部冷却液を吸い上げ放散、頭部から胸部に連なる命令系機能を冷却する効果を持つと共にゾルフ・トーテムの命令信号を電流として拡散させる機能を持つ。これにより機体内部のゾルフ並びに機体周囲のゾルフを電磁誘導し様々な効果を付与する事が可能。
力場の形成、通信機能の妨害などの効果から、連結する事で砲台を作り出し、簡易射撃兵装として使用。これらの利用効果から他の機体の装備を流用でき、他キャバリア専用装備であるスリーエル・ライフルやガルトゥーウの牙、エレレンメギにD装備も着使用可能となっている。
またゾルフそのものが命令伝達と電磁誘導機能を有する為、ゾルフ・トーテムが稼働し続ける限り、理論上は惑星ひとつを力場内に覆う事ができる。
なお力場内は非常に高温な上に電子レンジ内と同等の効果を持ち、散布量増大する程その効果も高まる為、ゾルフ・トーテムの生産力を上げる事は有機物に対して非常に危険。
ゾルフは人体に混入した場合極めて有害なエアロゾルとなる為、ライアンは散布後炉心内で焼却するよう心掛けているが現在のゾルフ・トーテムの生産量では簡単に風に乗って上昇、人の居住区へ降り注ぐまでにほぼ無害な量にまで拡散される。
ただしそのままの濃度を吸入する可能性のある戦闘中など、必ずしも安全という訳ではない。

敵性キャバリア
●ヒューグリーム決戦の悪魔
ヒューグリーム領での月光騎士団とガルメリッサ軍との決戦の際に見られたクロム・キャバリアと同一の風貌を持つ機体。
前搭乗者の戦闘記録から生存本能への執着を学び、搭乗者の生存本能を高める事で他者を敵と認識、暴走させるオブリビオンマシン。
恒星エンジンことSFEを動力炉としており、『ソード・オブ・イクスカリバ・システム(SOEXCS)』の使用が可能。ピコマシンの制限が解除されており様々な資材を装甲へと取り込み高い再生能力を発揮する。
SOEXCS使用の際もこれらの力を利用する事で高い安定性を誇り、敵を倒す程に継戦能力が向上する。
が、特殊な訓練を受けてもいなければ本機への慣れも関係なく搭乗者を暴走させてしまう為、最大出力での戦闘は短時間で搭乗者を殺してしまう。
また制限の解除されたピコマシンを制御するアンテナを増設する事で様々な資機材を取り込み巨大化、自らの内部機関を最大限に活かせるよう進化を続けている。
全ては生き残る事に固執する人格故であり、搭乗者を部品としか考えていない。他者を、そして殲禍炎剣を破壊し己しか存在しない世界を創る為、進化を続けている。

●廃城の騎士(正式名称:SSTorv-chronicle-P)
◉オルヴ試作機として
元々はガルメリッサ軍の最新式であるクロムキャバリア、オルヴの同型機。試作型として製造されたものだがほぼ同時期に作られたもう一体のオルヴ(強奪された代物)と一切の差はない。
イルイージ・コフラックエイクの幼馴染であるゲイン・バルバが搭乗した。ゲインはこの機体に搭乗する前からガルメリッサ軍としてイルイージとの交戦を繰り返し敗走を続け、月光騎士団による略奪で家族や恋人を失った事から激しい憎悪を募らせると同時に力への羨望が植え込まれた。
特質な操縦技術を持つイルイージ戦以外はほぼ全勝へ戦場を導いている事もあり、強奪されたオルヴの同型機である本機を託され、イルイージ追撃の任を負う。
つきとめた月光騎士団の拠点のひとつで彼らと幼馴染である赤侯爵の娘と戦闘、彼女を殺害した事でイルイージの逆鱗に触れオルヴ同士の戦闘に発展する。
しかしイルイージにより改良されたオルヴは既にゲインのオルヴとは別物で、SOEXCSを使用した圧倒的な戦力差に追い詰められてしまう。間一髪でイルイージの操縦についていけなかったオルヴが破損した事で残存部隊と共に撤退、命拾いする。
帰投したゲインはその差を埋めるべくオルヴにかけられた制限を解除、SOCSの使用が可能となった。が、こちらは欠陥と呼ぶに相応しく炉心の熱量に機体がとても耐えられない事からガルメリッサ軍が炉心安定の為に開発したオプション、『C-23MT ロールバウト』を譲渡され、またロールバウト専用装備と接収された赤侯爵の移送艦『レッド・バラン』を支給された。
ガルメリッサ軍の中でも月光騎士団壊滅の一番槍としての名声を得たゲインは気を良くした事で、月光騎士団を殲滅するのではなくオルヴと共に追撃・撃破繰り返しガルメリッサの正義を周辺国家へ轟かせる事になる。
更なる力を欲したゲインは月光騎士団逃走ルート上の小国家クリオカを自らの力で制圧、プラントを居住としてレッド・バランや部隊の補給・強化を行いイルイージを迎え撃つ。
戦闘中、クリオカの少年兵がキャバリアにも乗らず歯向かった事からロールバウトで踏み潰してしまうが、彼の怒りの目が忘れられずにいつしか、自分が月光騎士団と同じ存在になっている事に気づく。
だからこそ己を貫く為にレッド・バランの総力を挙げて月光騎士団の殲滅を決意、自らもSOCSを起動しSOEXCSを起動したイルイージのオルヴと激戦を展開。それでも互角と言える勝負にならなかったゲインはロールバウトを破壊され、冷却性能の低下したオルヴでなおもSOCSを強行。
機体の異変に気付いたイルイージの制止も受け付けず、戦いの中で自壊し小国家クリオネと共に消滅した。
◉オブリビオンマシンとして
ヒューグリーム決戦の悪魔と同じくSFEによる圧倒的な機体性能を誇るが改善されていない為、自壊と共に周囲を巻き込む大規模爆発の危険が極めて高い代物。
ロールバウトを随伴させており、単純な機体性能であればSOCSを起動させるまでもく強力。しかし搭乗者に前搭乗者の支配欲を植え付け暴走させてしまう事から、正常な判断を下せない可能性を持つ危険な機体である。
プラントや町を強襲、徒党を作り支配する傾向が多い反面、機体の整備などが杜撰で期間を開くほど機体性能が落ちる欠点を持つ。
ピコマシンを内蔵しているものの制限を解除していない為、勝手な修理・暴走が起きる事は無い。

●群れ成す孤立者(正式名称:SSTelfe-genesis)
◉SSTシリーズの後継機
最新鋭のクロムキャバリア・オルヴを月光騎士団に強奪された事で焦りを見せたガルメリッサ軍は、試作機に追撃の任を与えると同時に後継機を制作、プラントのエネルギーを直接供給し物質転送を可能とする為に地上より観測した殲禍炎剣の精確無比な射撃を研究する事で生み出された、超演算システム・エルフィが搭載され、機体名もそれにあやかりエルフェと呼称された。
また本機開発にはエルフィの軍事適性を確認する側面があり、月光騎士団と何度も戦闘を経験したガン・スモーク正体の生き残り、クロエ・レーテルバックに与えられ最大戦力となったイルイージ・コフラックエイクの搭乗するオルヴ撃墜の任を得て行動している。
オルヴを超えるクロムキャバリアとして期待されていただけに基本性能ではオルヴに引けを取らないものであったが、既に異常適性を持つとすら言われたイルイージの敵ではなく、またSOCSの起動が可能となったゲイン・バルバにも及ばない戦績となった。
だが本機最大の特徴である『ワイヤーフレーム・リバイバル・システム(WFRS)』は開発陣の予想を上回る効果を発揮、単体にも関わらず軍を形成し月光騎士団との戦いにおいて戦況をひっくり返す力を見せつけ、物量の前に短期間しか戦えないオルヴは撤退を余儀なくされ、更なる追撃を受けて月光騎士団の軍勢を粉砕している。
しかしゲリラ戦となった際に各所に現れた敵戦力に翻弄され、手薄となった本機の前にオルヴが強襲する。クロエはイルイージとの決戦の前に自ら設計したオプションをWFRSで転送、巨大機動戦艦と化し圧倒的な火力と機動力、そして装甲を持ってオルヴ撃滅へと動いた。
が、未だに成長を続けるイルイージとSOEXCSを起動させたオルヴの機動力、火力を前に対抗出来ず、失意の中で完全破壊されてしまう。
小隊に命を守られ、それでもなお宿敵を撃破できなかった己に悲観したクロエは精神を摩耗し人格が破綻。幼児退行した姿をイルイージは『責任感のない大人』として糾弾しており、オルヴによる突撃で操縦席ごと貫かれ死亡、機体も機能を停止した。
エルフィはクロエ、エルフェと運命を共にするがその情報を常に発進されており、ヒューグリーム領の実験施設内で常に更新されていた。研究は続けられたが、ヒューグリーム領での決戦において施設は王の命令により破棄されている。その後、訪れたイルイージによってデータの一部が回収され、ゾルフ・トーテムの作成に利用、ダニーに搭載されている。
◉オブリビオンマシンとして
その設計思想から高い運動性と反応性を誇る高性能機であるが、特にパワーがある訳でもなければ耐久性も特筆すべき点はなく、非力と呼ぶに相応しい。
しかしプラントからのエネルギーを背面受信盤で無線供給する事でWFRSを起動し、大量の兵器を創造する能力を持ち仮拠点の作製を行うなど拠点防衛、あるいは攻撃に関して振り切れた性能を持つ。
本体にも追加装備を製造する事で攻撃能力の底上げが可能であり、基本性能以上の力を有している反面、背面の受信盤を破壊されるとWFRSの使用が不可能となり、本来の能力値で戦闘しなければならない。
前搭乗者の絶望が深く刻まれた本機は、搭乗者の自己否定を増長させ暴走させる性質を持ち、自らを砦として搭乗者に拠点を築かせ、交信を試みる者を排除する高い攻撃性を示している。

●オルヴ進化形態(正式名称:SSTorv-chronicle)
オブリビオンマシンとして覚醒したヒューグリーム決戦の悪魔が進化した存在で、実際には別個体化しており正式名称というものは存在しない。
制限の解除されたピコマシンにより進化前の設計思想やこれまで戦闘を行った機体の解析、予想図を作成、それらを自らに反映し作り替えられた完全新規のオブリビオンマシンである。
生存本能から人格の形成を得た彼(彼女)はエルフィにも似た演算システムを独自に構築し、視覚情報を解析発展させ様々な機体の解読を行っており、すでに個として独立している。
前身となったオルヴのSFEを完全機能させる為、WFRSによる殲禍炎剣を利用したエネルギー供給を行い余剰エネルギーを外へ放散する事無く内部に充満させる事で機体反応を極限まで高めた『システム・ワン(S1)』を完成させた。
性質上高い硬度を保つと同時に靭性が低く、防御面において高い能力を持つとは言えないが副次的に損傷した部位から圧密エネルギーが放出される為、リアクティブアーマーに似た効果を発揮している。
また破壊された箇所は機体内面を保護するピコマシンがエネルギー放出と共に拡散され破損部位に付着、瘡蓋を形成するように高速修理される。
放出されたピコマシンへの命令系は存在しないものの、機体内部を充足する圧密エネルギーを機体全面どの部位からでも放出する事が可能で、攻撃に対する高い迎撃機能を誇る。内容的には一部ピコマシンの動きを不活性化し装甲を自ら溶かしエネルギーを放出するもので、それらの制御を統括し『システム・ツー(S2)』と名付けられている。
背面には可動式推進器が設置されており、X字に並ぶそれぞれは独立、短い上二基はトップスラスターと呼ばれ圧密エネルギーの噴射で直線起動をでの加速を用いる際に使用される。
長い下二基はアンダーカバー、脇の下を潜る形で兵器として機能し、圧密エネルギーの放出ではなく、攻撃を目的として先端部から増幅発射する強力な光学兵器。
またアンダーカバー内部にアンダーウィングが格納され、それぞれ四本の推進器を不燃性の皮膜で繋がれている。普段格納しているこれらを体に取り巻く事で巡航形態となり、一方向に対する推進力が劇的に向上する他、複雑な飛行機動を可能とし空中戦では無類の性能を見せる。
またこれまでの生存本能を暴走させる能力は、前搭乗者の戦闘記録を直接搭乗者に植え付ける『システム・スリー(S3)』へと昇華した為、著しく戦闘技能を向上させる。本機は搭乗者を自身の生体部品として捉えており、合理的ではない判断を下す本能の領域として、更にその操縦の殆どを預ける戦闘の要として機体に取り込んでいる。
これにより合理的な戦闘のみならず生存の為の学習能力や敵の手の内を曝け出させるといった人間的側面も見せており、次の進化の準備を進めている様子が散見される。
またこれらの機能に搭乗者の身体が持たず劣化し易く、戦闘時間が伸びる程に性能が落ちる問題点を抱えているがそれらへの対処は行われておらず、本機がた生体部品を使い捨ての摩耗品としか捉えていないと分かる。
武装については装甲を貫き引き裂く爪と手甲に装備された打撃用の装甲、前述の光学兵器とシンプルなものだがどれも高い水準で、特に細めの外観からは想像し得ない出力を誇る本機の格闘戦はあらゆる装甲を紙屑のように粉砕する。
なお、本機の最終目標はあくまで殲禍炎剣を含む他の存在全ての破壊であり、未だに実現していないがWFRSを利用した本機の複製と自己の演算能力を更に進化させる事でひとつの頭脳から群体を創造する『システム・フォー(S4)』を目指している段階である。
最終目標である殲禍炎剣の破壊後、本機も機能停止直前にまで陥ると思われるが、それでこそ安らぎを得られると考えているのかも知れない。



★EX.各キャラクターとの関係について

伊敷・一馬(燃える正義のひょっとこライダー・f15453)
いかにもトラブルメーカーって感じだよね。俺に使う言葉じゃないんだよ、これは。

タケミ・トードー(鉄拳粉砕レッドハンド・f18484)
女とは思えないほど強靭な兵士だ。面白い操縦機能のロボットを使ってるし、彼女の右手は超精密な義手だと思う。解析してみたいよね。

ハララァ・ヘッタベッサ(亡霊の纏う黒き剣布・f18614)
ユーレイってこういうのを言うんだろうけど、思ったより怖くないんだなぁ。どっちかって言うと、同じ猟兵のハララァさんの方が怖く感じるね。

鈍川家・玉五郎(かっこよくなりたい鈍川さん家の玉五郎・f19024)
ニルヴァーナ・ファイブボールって呼んで欲しいんだってさ、可愛いヤツだよ。ちょっと生意気な性格してるけど射撃技術は俺より上だし、ファッションセンスとネーミングセンスは憧れちゃうな。

バオ・バーンソリッド(戦慄のワイルドタフネス!!・f19773)
……怖いんだけど……あんまり近寄ろうとも思わないし、特に話してないからよくわからないんだ。

ブライアン・ボーンハート(熱き血潮のサイクロン、ブロンズハート!・f22409)
ナンパって感じだけど、古い知り合いに似てる。案外信頼できる人間なのかも知れないね。

シュゼ・レッドカラー(牙ある野性、双拳を持ちて食らいつく。・f25319)
特にかかわった事がないからわからないな。社交的そうだよね。

カズマサ・サイトウ(長きに巻かれる、おにぎり大好き風来坊・f26501)
如何にも傭兵って感じだ。特にかかわってないけど、信用できない気がするよ。

大門・有人(ヒーロー・ガンバレイにして怪人・トゲトゲドクロ男・f27748)
当たりが強くて嫌いなんだよね、この人。詳しい事情は知らないけど、どこか悲観的なのが鼻につくよ。

カタリーナ・アバンラスティス(歩くニトログリセリン・f28886)
面白い義手を使ってるよね。気になる装備が多いし、ハララァさんと似た生物兵器を連れてるみたい。何度か共闘してるけど、作戦とかはなからぶっ壊してくから嫌いだよ。

ハンナ・レドウィッチ(天災級自爆魔法使い・f31001)
会った事ないけど、カタリーナさんから話は聞いてる。彼女より破天荒らしくて信じられないよ。

罹災・祥雲(変幻自在の疾風、屍機甲忍者・f31621)
敵対した事があるけど、戦闘機やら何やらを召喚して、本当に猟兵って凄いよ。え、変化?

ランデルフ・ハスタルブメア(ナイト・オブ・ガッデス・f32260)
知らないけど、猟兵止めて隠居生活した方が良さそうじゃない? 危ないよ。

バルディエッタ・フランキスカ(パール・ホワイト・f32560)
年寄とは言え精力的だよね。ニルヴァーナと知り合いらしいけど説教臭いから嫌いなんだよね。ただ仕事仲間としては信頼できる相手だ。