memo1 ―むかしむかし、いまむかし―
ラガルルクは思慮が浅ければ物覚えも悪く、無鉄砲で騙され易い羅刹鬼である。
そんな女でも剣豪としての腕は立ち、海賊としてグリードオーシャンの海を翔る術を持っていた。殺し殺され、奪い奪われ、騙し騙されては裏切り合いを為してきたラガルルクは嘗ては達人とうたわれたもので。だがその達人とやらは大層詰めの甘いうっかり屋だった。阿呆は周囲を軽んじ隙を見せびらかし、挙げ句の果てにメガリスに呪われて、無様にも負けてしまったのだとか。
今現在、八十数年の時間を生きてきたラガルルクは年の功がなければ昔と変わらぬ小娘のままだ。
しかし、無意味に時を進めたわけじゃない。負けず嫌いで諦めの悪いラガルルクは我武者羅を止めて己が堕ちた末路を見つめた。過去の卑俗に対して「バチが当たった」と舌を出した彼女は、次は道を踏み外さないようにと地に足をつけて生きることを選んだのだ。
それでも天空の高みには憧れる。それでも高いところは好き。だから、酒と煙草は辞めても熱狂と挑戦は昔のまま。……ひょっとするとラガルルクは羅刹鬼ではなく、天狗なのかもしれない。
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