memo1 ―奪われたもの―
九寂春風とは、幸運の星のもとで生まれた人間である。飢えれば飯を与えられ、鳴けばどうしたかと問われ、愛想をつかされても見放されることは決してなく。叱られたことを思い出して恐怖に震えても、寒さに怯えることはなかった果報者だ。
彼を捨てた両親はマトモではなかったかもしれない。だが、生まれた赤子に九寂と名前をつけて、少しの間は育ててくれた。
彼を拾った家族はマトモではない極悪組織ではあったが、捨子に春風と名前を与え、成人するまでの長い間を育ててくれた。
九寂春風は運がいい。だからこそ新宿を本拠点とする黒蓮家の中で唯一、たった一人だけ『刻逆』を免れることができた。復讐者として状況を素早く理解した青年は、家族である黒蓮家を護ることを最優先に動き出す。
家族は帰ってくる。奪われたならば奪い盡して取り戻す。復讐なんて生ぬるい炎海に浸かるべからず、怒りに足掻いてアルケーを潰せ。
栄光ある世界を証明せよ。
memo2 ―二つの名を持ちながらも、家名を名乗らぬ理由はある―
九寂は両親に捨てられた赤子。春風は家族に付けられた使命。だが家名を名乗らなければいけない場合、彼は黒蓮の名を使用する。肉親の苗字は、わからないからだ。それに青年は自分の名を甚く気に入っていた。
九寂春風には両親への未練はない。しかし、家族同様に愛しているのは確かである。
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