忘却の彼方

作成日時: 2019/06/24 14:44:19

語の知らないこと

かたりが共有しない為、知らないこと

・詠丸の亡くなった日
詠丸が亡くなった際、かたりはその腕の中に抱きかかえられていた。
生命の温度の落差を一晩で体験した形になり、それ以降その温度が苦手であり、怖い。
背中に引っ付かれるが苦手なのもここに起因する。

・遺らされた事、恨む感情
詠丸の死後、その棺に入れられたのは、かたりではない高座扇子。
常に手元にあった、常に側にいたという自負、なくなった日も、ずっとそばにいさせてほしいと、告げていた事。
また、姿を消していたとはいえ、燕清も彼を雪華亭の席亭に預けて逝った事。
そう言ったことから、置いて逝かれた、との感情が強く、敬愛しているにもかかわらず恨んでもいる。
最も、詠丸にも燕清にも置いて逝ったつもりはない。交わした約束を思えば、そうは思わないのだろう。




語が知らず、かたりが忘れている事

・約束
詠丸が亡くなる日、抱かれたままで言われた『進めるだけ進んでから会いに来い、途中で振り返ったら怒る』
実際には微妙に内容が違い、『中途半端で追い掛けて来たら、蹴り帰す。進めるだけ進んで、色んな物、色んな事を見聞きして、経験して、それからおいで』
ある意味、一番重要な部分がすっぽ抜けている。
























・そもそも、知ることのできないこと
かたりが、何故ヒトガタを得たのか。
詠丸の生まれた年と、かたりが作られたのは同じ年。
そして、かたりの作り手は詠丸の父親である職人。
そんな巡り合わせ。
基本情報
更新履歴
情報
作成日時:
2019/06/23 13:27:50
最終更新日時:
2019/09/06 23:26:57
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標準