管理番号：UDC-1971
管理種別：UDCオブジェクト・D-
規定管理手順：現在組織管理下にあるUDC-1971-1に対し、担当医により月に最低一回、ヒュームドライブの点検及び３０分以上のカウンセリングを行ってください。カウンセリング中は現実強度の計測を行い、心理的に最も安定している時点と最も不安定な状態になった時点で現実強度の差が5.0を超さないようメンタルケア及びヒュームドライブの調整を都度実施してください。また、管理の性質上本報告書の内容の取り扱い・伝達には細心の注意を図ってください。UDC-1971-1に本報告書の内容が知られてしまった場合、直ちにAクラス記憶処理を行い2時間以上の精神鑑定により深層心理下にも一切の情報が残っていないことを確認してください。（改訂：潜在意識の誘導、認識阻害により本報告書の内容を知覚できないよう調整してください）
UDC-1971-1が一ヶ月以上規定のチェックを受けられない、現実強度が7.0を超える、ヒュームドライブが稼働不能になるまで破損する、いずれかの条件を満たした場合藤本部隊長の指揮のもとプロトコル"打ち切り"を実行し、UDC-1971-1の終了及びUDC-1971の回収を行ってください。

概要：UDC-1971は人体へ埋め込む事を目的とした機械的なインプラント器具です。外科手術を必要とせず、人体に宛てがうことで体内へ吸収され、骨盤と癒着・結合する形で取り込まれます。明らかな異常性を持つにも関わらず、X線検査等の結果によれば構造物に邪神やそれに準ずるものは確認されず、異常性を持たない部品のみで構成されています。

UDC-1971は埋め込まれた人物の強い感情に反応して現実強度の変化を引き起こし、埋め込まれた人物の体に現実侵食を発生させ望む形へ変容を発生させます。この変容は傷の治癒・筋肉量の変化といった軽微なものから、ヘイフリック限界を超えた欠損の再生・一時的に身体構造や構成物を人体が許容しない物に置き換えるなど多岐に渡ります。

UDC-1971は邪神によらない異常性を持つオブジェクトを開発する団体によって製造されましたが、該当の団体は既に壊滅しており、UDC1971の詳細な情報は団体の拠点跡地から発見された開発資料から明らかになりました。（文書UDC-1971-Aを参照）団体が壊滅した経緯は現在不明です。

現在所在が判明しているUDC-1971は高岩・凛（以降UDC-1971-1と表記）の体内に存在する1個のみです。UDC-1971-1の幼少期、上記の団体により組織職員であった両親が殺害された際にUDC-1971-1も重傷を負い、UDC-1971を埋め込まれていたことが救出時に発覚しました。
当初は早急に骨盤を切除してUDC-1971-1からUDC-1971を摘出する予定でしたが、救出を指揮した機動部隊と-932("JAE")隊長の藤本郷太郎により「オブジェクトの情報が不足している現状でオブジェクトに接触することによりインシデントが引き起こされる危険性、および組織の医療技術を以ってしてもUDC-1971-1が摘出に耐えられず死亡する」事を理由に計画中止が進言され、UDC-1971-1は藤本部隊長が経営する孤児院に引き取られ、監視のもと保護観察処分となっています。2019年3月9日に起きた事件によりUDC-1971-1が重傷を負い収容違反が発生する危険が高まったことにより管理手順が変更され、カバーストーリー「義手型装備のテスターとして組織へ採用」により組織直接の管理となりました。また、この際UDC-1971抑制の為に、当時開発中でしたが効果範囲が短く実用に耐えないと判断されていた「対象の現実侵食能力を吸収して駆動する対現実侵食者用武装」の動力源であるヒュームドライブを内蔵した義手により現実侵食能力を封じ込めるよう管理手順が変更されました。これは本人へは「義手自体が現実侵食能力を持つものである」とカバーストーリーが説明されており、エージェント活動の為にUDC-1971-1には義手同様にヒュームドライブが搭載されている強化外骨格展開装置「ハザードライバー」が支給されています。

補遺：2020年6月17日、UDC-1971-1にインシデント「両足の断裂していた神経の再生および欠損した左腕の再生」が発生しました。本人へは「貸与しているオブジェクト█████の影響によるもの」とカバーストーリーが伝えられましたが現実強度の著しい上昇に起因するものと思われる為、更なる管理手順の改定が予定されています。（改訂：心理誘導によるロックが実施されることとなりました）