私は、

作成日時: 2022/09/12 00:08:07
兄上は、人に好かれる天性の才能があった。
公明正大、温厚篤実。正しく誠実を絵に描いたような人だった。

だから、父から領主の立場を受け継いだ後も。
民草は兄上を慕い、尊敬した。

対する弟は、家族から愛されなかった。
疎まれ、蔑まれ、愛されたのはいつだって兄の方。

弟は遊び人だった。
身分を問わず女を口説き、一夜限りの愛を囁き。
芸術を愛し、茶を愛した。
気さくで楽しい男だったが、決して敬われることは無かった。

弟は兄が好きだった。
家族から愛されなかった私を、唯一愛してくれた人だった。
皆、勘違いをしているのだ。
コンプレックスなどあるわけがない。妬みも僻み、欠片すら無い。
ただ純粋に兄の為にありたかっただけだ。

それだけなんだよ。
基本情報
更新履歴
情報
作成日時:
2022/05/09 02:06:57
最終更新日時:
2022/09/12 00:08:07
記述種類:
標準

見出しリンク
更新履歴
2022/09/12 00:08:07
2022/05/09 02:06:57 差分