🌸転生後の宿敵との邂逅について
生まれてから暫くして、那桜は宿敵である『ナキ』こと櫻葉 那紀と出会う。
ただ、当時転生前の記憶はなかった為、人あたりの良いナキと暫く遊び、優しいお姉ちゃんとして認識し、懐いていた。

ある日、ナキに連れられて人気のない場所に連れてこられる。いつまでも着かないことに不安を抱きながら、ナキは言った。

「なんで那桜ちゃん、幸せになってるのかな？ 私と同じ不幸だったのに」

言っている意味が分からず困惑していると、「かくれんぼしよっか♪」と辺り一面が暗闇に包まれ、見えないナイフが襲いかかってくる。
精霊に呼びかけるも応えてくれず、徐々に、負傷と共に初めて恐怖心が呼び起こされる。

「那桜ちゃん、私を殺したんだよ？ それで幸せになってるって許せないよ。だからこうして」

──戻ってきたんだ。
そうは言われても、思い出せない。ナイフで霞桜の枝を根元から折られ、死の恐怖が加速する。
逃げようとして、死神のような存在が鎌を振るい、頬を掠める。

恐怖と絶望が臨界点を突破したその時、ナキのナイフと死神の鎌が消え、見えない刃として襲いかかる。
「来ないで来ないで来ないで嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ！！！」

後の『墨染』として名付けた強がりの一面と、万象を操る力でナキを追い詰める。
「……もう少しだったのに、残念。じゃあ、那桜ちゃんを殺せるように、私も力をつけようっと♪」

ナキはこれ以上攻撃出来ないと判断したのか、暗闇を消して退却。そして、那桜は気絶した。

その後精霊達がごめんなさいと、『四精霊のブレスレット』を渡し、いくら探してもナキと出会うことはなかった。