PBWめも
お題:言わないで
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その知らせは、あまりにも突然だった。 依頼終わりに響いた明るい着メロ。 スマホを取り出し耳に当てれば、聞こえて来たのは慌てたような同居人の声。 澪が倒れた。 脳が意味を理解した瞬間、俺の足は動き出していて。 仲間の呼び声にも、止まる事も振り返る事も出来なかった。 「どうしたの、そんなに急いで」 看護師の注意も聞き流し駆け込んだ病室。 窓際のベッドで体を起こした澪のいつも通りの声色に、強張っていた体から漸く力が抜けていくのを感じた。 「……それはこっちの台詞だっての。電話で聞いてマジビビったんだぞ」 「あぁ、そっか。ごめんね、仕事の邪魔したかな」 「いや、丁度終わったとこだったしそれはいいんだけどさ」 ベッド脇の椅子に腰かける。 白く輝くシーツに反射した日光が酷く眩しかった。 「また寿命削ったんだってな」 「うん……ギリギリでやめるつもりだったんだけど」 「ギリギリってなぁ……れーい、お前ただでさえ心臓弱いんだから、もっと自分を大事にしろよな」 「そう、言われてもなぁ……」 フッと、その瞳が陰りを帯びたのを見て、あ、ヤバいと直感した。 窓の外に視線を逸らされ、俺の位置からは表情が伺えなくなる。 けれど、だからこそ、澪の思考が手に取るようにわかってしまって。 「皆の方が、大切だから」 嗚呼、またか。察したと同時に唇が震える。 それが澪なりの優しさなのもわかっているけれど、悲観的な彼の言葉は鋭い棘のようで。 「どうせ放っといてもいつかは消える命だし」 やめて。やめろ。頼むから、それ以上は。 「皆の幸せを守れるなら、僕は――」 空気を読まず鳴り響いた明るい音楽。 彼の口が止まったのを見て、わざとらしくスマホを掲げて見せた。 「ワリ、諒太からだわ。出てくるな」 「……行ってらっしゃい」 視線を振り払うように部屋を出て、音を止める。 本当は着信など来てはいない。 操作したのは自分。 紡がれる言葉を止めたくて。 戻った時に話を逸らしやすいように。 卑怯だとは思うけど、それでも。 「澪にとってはどうでもよくても、俺らには……唯一なんだよ」 関係性とかは関係無い。 澪は俺達にとっての光で、かけがえの無い大切なもので。 だから、だから頼むから。 (死んでもいいなんて、言わないで)
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