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Secret records-ある生還者かく語り
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なるほど、あの戦いについて話を聞きたいと。 つくづく物好きな方もいたものですね。 ええ、あの日のことはよく覚えています。 時期にして――2017年の6月あたりでしょうか。 いつものように寝転んで思慮にふけていたら、突然、辺りが騒がしくなってきまして…… 起きてみたら、辺り一面が炎の海で、皆さん逃げていて。地獄のようでしたね。 あなたは考えられますか?寝る前は鳥の声も聞こえるほど平和だったのが、起きてみたら人の声で埋め尽くされた地獄になっているのを。 家々はみんな炎に包まれて、皆さんが兵の皆さんと交戦されて、巻き込まれて皆さんの悲鳴が上がって…… 誰がこんなことをしたんだって興味本位で覗くことにしまして…… そしたら、指揮していたのは、紛れもなく――姫様でした。 目指すは王宮、王を、父様を殺しなさい、と声を上げる姫様は到底信じられなかったですね。 少し前まではこちらに微笑んだりして、仲良く会話までしていたというのに。 息をするだけできつかったし、胃が痛かったです。 目の前のこれは、信じたくないけど現実だ。ええ、絶望しましたとも。 きっと自分も殺される。だから、冥土の土産と言いますか……聞きたかったんです。姫様に。なんでこんなことしたのか。 襲っている皆さんの方へと向かったとたん、姫様は驚いたような顔をしました。 そして、とにかく王宮へ突撃しろ、と。そう命令を下し、こちらに歩み寄ってきました。 途端に声が大きくなりましたね。指揮していたのが姫様とわかったのですから。自分たちを見捨てたのか、と。 その声に何も答えないままただこちらを見つめていただけなので、思い切って聞いたんです。 「ねぇ、王女様」 小首を傾げながら。 「――あなたは、どうしてわたし達を見捨てたのですか」 聞いたんです。 すると姫様は歯噛みしてました。 「……ててない」 震えてるようなので近づくと、 「見捨ててない!私は、あんたらをむしろ救いたい!あの父様から!あんた達を!」 「教えてください姫様。救うってなんですか?わたし達はそこまで」 「違う!あんた達は何も悪くない!だけど……」 姫様は、手に持った剣で。 私の頬を斬りました。 ――その時の、熱い感触と、姫様の震えてる手は、今でも忘れてません。 「……これは、戦争なのよ。クーデターなのよ。 私は可能な限りみんなを傷つけないように言ってる。でも……それでもこうなってしまうのね……」 ……泣きながら言ったその言葉も、忘れられません。 姫様は私を門の方に向かせると言いました。 「行きなさい。その傷があれば亡命してきたとか言えば受け入れられるでしょ」 「でも、姫様」 「いいから!」 ――姫様は、確実に。 「……地獄に落ちるのは私だけで十分。これは、必要悪なのよ」 ――泣いていました。 気づけばわたしは走ってました。後ろに戦争の声を聞きながら、ひたすら―― そしてあと少しで門に、ってところで――転んでしまいました。 その後のことですか?よく覚えてません。 気がつけばここにいて、親切な方がわたしの傷を見てわたしを保護してくれました。 ある意味、「亡命」は成功したのかもしれませんね。 ――ああ、でも願わくば。 また、あの国に行きたいですね。話してたらまた行きたくなっちゃいました。 え、その国の名前ですか?……うーん、覚えてませんねそういえば。 何せ、わたし旅人なもんで。訪れた国の名前なんて色々ありすぎて忘れちゃいましたから。
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