お題:瞳に包帯

作成日時: 2020/03/12 09:20:32
 ねぇ、君は何故泣いてるの?
 何故耳を塞いでるの?

 世界に絶望してしまった?
 悪夢の続きが怖くなった?

 そうだよね。
 この世界は汚れているから。
 君みたいな綺麗な人間が、存在していい場所じゃなかったんだ。

 助けてほしい?
 僕ならそれが出来るんだよ。
 さぁ哀れなお姫様、この手を取って。
 救いの魔法をかけてあげる。

 ほら、ね……良い子だ。



 瞳に包帯巻きつけて。
 鎖で君を閉じ込める。
 隔離された闇の世界。
 二人ぼっちの夢の国。

 これでもう大丈夫。
 僕が君を護ってあげる。
 この鳥籠に居る限り。
 君はずっと、綺麗なまま。

 その瞳が映すのは、僕の姿だけでいい。
 その耳が拾うのは、僕の声だけでいい。
 夢の世界に悲しみなんて有りはしない。
 僕と君の心には、歪で冷たい幸せを。



「澪、ご飯の時間だよ」

「もう? 今日はなに?」

「君の好きなオムライス。
 見てみたい?」

「ううん……大丈夫。
 折角巻いてくれたものだから、今日はこのままがいい。
 ありがとう、ご主人様」

「どういたしまして。
 さ、口開けて。
 食べさせてあげるよ」



 僕だけの素敵なお姫様。
 君に誓いのキスを贈るから。
 過去なんて忘れて、僕に溺れて。
 同じ場所まで、堕ちておいで。

 君は永遠に、僕の物。
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2020/03/12 09:20:32
最終更新日時:
2020/03/12 09:20:32
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