エイプリルフール

作成日時: 2020/03/12 20:16:43
【尚子からの場合】

尚子
「栗花落くんなんて大っ嫌い!」


「あっそ」

尚子
「あっそ!?
 あっそで済んじゃうのねぇ!
 私に嫌われたのよ!?
 それでいいの!?」


「別に、おねーさんに興味なんて無いし」

尚子
「……」


「ほら、僕なんて嫌いなんでしょ?
 もう会わなくていいように明日から登校時間ズラしてあげるから。
 じゃあね、バイバ」

尚子
「待って、待って栗花落くん!
 違うの、これは違うのよ!
 私はただ」


「知ってるよ、エイプリルフールでしょ」

尚子
「へ?」


「全部顔に出てるよ、嘘つきなおねーさん」

尚子
「し、知ってたのね!?
 だからその反応!?
 ちょっと本気で落ち込みかけたじゃないやめてよもう!
 でも良かったぁ、てことは私に興味無いなんていうのも」


「それは本当」

尚子
「……」


「本当」

尚子
「……つ……栗花落くんのバカアアァァ!
 もうグレてやるううぅぅっ!」


「あ、逃げた。
 ……ちょっと意地悪し過ぎたかな……」



【澪からの場合】


「おねーさん」

尚子
「ん、なに?」


「明日からさ……会わないようにしよ」

尚子
「え?」


「僕登校時間ズラすから。
 帰宅時間も」

尚子
「え、え、待ってなに急に、なんで!?」


「なんでっていうか」

尚子
「もしかして、私栗花落くんになにかしちゃった!?
 この間酔っ払って栗花落くんの家押し掛けたから?
 携帯の待ち受け勝手に栗花落くんの寝顔にしてるから?
 この間栗花落くんのベッドの下にこっそり××本仕込んだから!?」


「ちが……ってか、それやっぱりおねーさんの仕業か!
 待ち受けは今すぐ変えて頼むから!」

尚子
「私のこと嫌いになった!?」


「……ぎ、逆だよ」

尚子
「……逆?」


「や、ごめん……まさかそんなに焦らせるとは思わなくて……だから、その……」

尚子
「栗花落くん?」


「……る……から」

尚子
「え、なに?」


「好き過ぎるから、おねーさんのこと。
 でも僕なんかに好かれたって迷惑なだけだろうし……だから、これ以上好きになる前に距離取らなきゃって思って」

尚子
「………栗花落くん……」


「……ごめんなさい」

尚子
「……いや、いや!
 なんで謝るのよ!
 嬉しいよ、うん……栗花落くんが私のことそんな風に思ってくれてたなんて。
 栗花落くん、いや、澪くん!
 私、私も、澪くんのこと」


「嘘だよ」

尚子
「澪くんの……え、嘘?」


「今日は、エイプリルフールです」

尚子
「………嘘!?
 え、どっからどこまで!?」


「好きってくだり」

尚子
「よりにもよってそこ!?」


「あははっ!
 いやー、エイプリルフールに嘘なんて初めて吐いたけど、バレないもんなんだね。
 おねーさん凄い慌てようだったよ」

尚子
「ちょ、待って待ってほんとに待って!
 好きのくだりが嘘ってことは会わないようにってとこは?」


「正確には、明日から学年で旅行行くので数日間こっちに居ません。
 だからだよ。
 ずっと会わないってのは嘘」

尚子
「好きって嘘をつかれたら実は逆に嫌われてるという噂が」


「さてそれはどうでしょう」

尚子
「そこ濁すの!?」


「ま、鬱陶しいとか気安く話しかけんな変態とは思ってるかもねー。
 あと待ち受け消せ」

尚子
「それ嫌われてるに等しい気がする!」


「はいはい、僕もう学校行くよ。
 お仕事頑張ってね」

尚子
「ちょ、ま」


「あとその服、裏返し」

尚子
「え……ああぁっ!!
 もう時間無いのにいぃぃっ!」


「……嘘、だよ。
 どっちがホントかくらい言わなくても気づけバカ尚子」
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作成日時:
2020/03/12 20:16:43
最終更新日時:
2020/03/12 20:16:43
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標準

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2020/03/12 20:16:43