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【仮プレ】外宇宙への出航~See You Again
作成日時: 2020/05/22 03:00:10
フィーナ・シェフィールドとシズホ・トヒソズマ
■
「まさか、人形達まで幼児化するとは思いませんでした。まぁ、」
シズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)はお供として連れて来た人形達と共に洞窟を突き進む。その姿は普段とは違い幼い幼児になっている。
後ろからは【自律絡繰人形】で生命を与えた絡繰り人形達が追従しており、人形達もシズホと同様に幼児化していた。
そして、シズホと人形達は洞窟を進みながら作戦会議を始めた。
「これはまた蜘蛛糸の能力と相性が良すぎるのが……。」
今回の相手であるティタノミルマは歌を通じて相手を幼くしてくるという。
普段なら行動不能に陥るまで多少の猶予があるのだが、今回は時蜘蛛の力により既に幼児にまで退行してしまっている。
今の状態で歌を聞けば瞬く間に歩く事も儘ならなってしまうだろう。相手の能力に対して人形達も次々と意見を出してゆく。
「……なら、歌には歌で行きましょう。わたしの歌なら相殺できる筈。」
「歌うと仔蟻達を引きつけるのでは?」
「なら、準備が整うまで歌を聞こえなくすればいい。私達ならそれが可能だ。」
シズホは人形達と相談を勧めてゆく。そして、最終的な作戦は以下の様になった。
①人形組は聴覚を絶つ事により歌声による幼児退行を防ぎ、ただの人形として振舞う事により母蟻の警戒から逃れる。
②シズホは人形組を抱えながら母蟻と接触、母蟻の懐に飛び込む事を試みる。
③母蟻の隙をつく形で人形組は攻撃を開始、攻撃後はシズホを連れて即時撤退する。
本来なら人形達に守られるべき本体が真っ先に囮になっている辺りに矛盾を感じるがそこは被虐願望を抱えるシズホなので問題はなかった。
「作戦も纏まったし洞窟の最奥が見えてきましたね。それでは、よろしくお願いします。」
こうしてシズホはただの人形のふりを始めた3人を抱えて光の溢れる方向へと足を進むのであった。
●
「これはまた凄い光景ですね。さて、お母さん蟻は一体どこにいるのでしょうか?」
洞窟の最奥に到達したシズホは目の前に広がる光景に感嘆する。だが、シズホの目的は母蟻の討伐であり遊ぶ事ではない。
誘惑に駆られながら母蟻を探し始めたシズホだが母蟻は直ぐに見つける事が出来た。広場の中心で沢山の仔蟻に囲まれたティタノミルマ・マザーが今まさに歌を歌い始めようとしていた。
「ま、まずい、早く彼女のもとに……むかわないと……きゃっ!?……あれ……わたちなにちにきたんだっけ?」
慌ててティタノミルマ・マザーの元へ駆け寄ろうとするシズホの耳に優しい歌声が潜り込んでゆく。
シズホは段々と頭がぼんやりとして足取りが覚束なくなってゆき転んでしまった。
柔らかな地面に倒れ込んだシズホの姿は更に幼くなり自身が何をし来たのかを忘れてしまっていた。
そして、転倒したシズホを見つけたティタノミルマが慌てて駆け寄ってゆく。
「まぁ、大変だわ! 大丈夫? 怪我はない?」
「うぅ? わぁい、ままだぁ! わたちはだいじょーぶだよ!」
「転んでも泣かないなんてあなたは強い子なのですね。ご褒美として撫でてあげましょう。」
「ままぁ、わたちをもっとこどもにちてぇ。ありしゃんにちてぇ。」
ティタノミルマは転んでも泣く事はなく元気よく返事をするシズホに笑みを深めると優しく抱き上げると頭を撫で始めた。
抱き上げられたシズホも歌に籠められた力の影響でティタノミルマに魅了され、舌足らずな声で彼女の子供になる事を望んでしまう。
そして、シズホを抱えたティタノミルマはシズホのおねだりに笑みを浮かべると背中に生えた4対の腕から糸を出しシズホを包み込み始めた。
●
「子供のお世話が好きなお母さん蟻なんですね。」
シズホが繭に包み込まれた頃、新たに洞窟に足を踏み入れる者がいた。フィーナ・シェフィールド(天上の演奏家・f22932)だ。
フィーナは洞窟内を楽しそうに遊びまわる仔蟻達を見て思わず頬を緩ませた。しかし、広場の中心で繭から頭を出した仔蟻……シズホの成れの果てを愛でるティタノミルマを見て顔を顰めた。
「でも、蟻さんになっちゃうのは困ります。せめて、せめて、子供のお世話で満足して消えていってくれればいいな……。」
一先ずはティタノミルマが歌っていない事に安堵するフィーナ。ふと視線を感じて辺りを見回してみれば視線は地面に横たわる人形達から来ている事に気が付いた。
それらの人形がただの人形ではない事に気が付いたフィーナは3体の人形を抱えるとティタノミルマの元へと向かう。
そして、仔蟻達をかき分けてティタノミルマの元へと辿り着いたフィーナはティタノミルマへと声をかける。
「ねぇ、わたしとおうたをうたいましょ!」
「いいわよ。折角だから皆仲良く歌いましょう!」
ティタノミルマはフィーナのおねだりを快く受け入れ、周囲にいる仔蟻達にも呼び掛け始めた。
フィーナは歌が始まる僅かな間に人形達をティタノミルマが良く見える位置に置くと清楚な衣装を纏いカスタネットを握った。
『そこがどこであろうと! このうたをとどけるの!』
程なくして始まった蟻達の合唱に対しフィーナはカスタネットを打ち鳴らしながら歌を歌う。
今のフィーナは幼児化により歌唱力が大きく落ちている。しかし、幼児特有の純真無垢な心が歌声に籠められた破魔の力を強めていた。
フィーナの歌とティタノミルマの歌声がぶつかり合い、籠められた魔力を打ち消してゆく。
状況は拮抗しているが次第にフィーナは追い込まれてゆく。気が付けばティタノミルマに抱き上げられて身動きが取れなくなっていたのだ。
ティタノミルマは歌う事を優先しているのか繭が飛んでくる気配はない。しかし、このままではフィーナが歌い疲れてしまうのも時間の問題だろう。
だが、洞窟内で合唱が響き渡る中動き出す者達がいた。ミルマが生命を与えた人形達だ。
●
(すっかり仔蟻ちゃんになっているけど、アレ後で元に戻る?)
各々の役割を果たす為に移動を始めたマジェスとバルを見送りながらミコはティタノミルマに抱き上げられ楽しく歌うシズホを見上げる。
自分達が動けている事からシズホが生きている事は確実だ。だが、仔蟻状態のシズホは最早シズホとは言えないだろう。
シズホが仔蟻のまま元に戻れないのではないかとミコに不安が募ってゆく。
(あぁもう! 難しい事を考えるのは後! 今はご主人様を助けるのが先決!)
ミコはこのままでは不味いと考える事を中断した。そして、マジェスとバルが位置についた事を確認すると自身に課せられた役目を果たし始めた。
「わたしも歌に混ぜなさい!」
洞窟に響き渡る合唱に新たにミコの歌声が加わる。だが、ティタノミルマも歌う者が増えても気にも留めない。
だが、ミコの歌声に籠められた魔力はティタノミルマの歌声に籠められた魔力とぶつかり合いその効果を相殺していく。
そして、ミコの歌声により幼児化の恐れが亡くなったバルとマジェスが動き始めた。
「~~♪ ぐふっ!?」
「ご主人を返して貰うぞ。」
手始めに風を放出してティタノミルマに急接近したマジェスは勢いそのままにティタノミルマのお腹を蹴り飛ばした。
その力は普段とは比べ物にならない程に弱いが歌う事に夢中なティタノミルマを怯ませるには十分であった、
そして、怯んだ事により宙に投げ出された投げ出されたシズホとフィーナを素早く確保したマジェスは洞窟の出口に向けて移動を始める。
「わたしの子供を何処に連れて行くの!?」
我が子を連れ去ろうとするマジェスを捕らえようとティタノミルマは腕を伸ばす。しかし、それはバルの放つ弾丸に阻まれた。
そして、二人を抱えたマジェスとの合流に成功したミコはバルを殿に撤退を始めるのであった。
二尾結とリアン・ブリズヴェール
■
「うぅ……こわいです……。」
猟兵達続々と洞窟へと突入する中、僅かながらも動こうとしない者もいる。
リアン・ブリズヴェール(微風の双姫・f24485)にとって幼少期とは両親を失い奴隷として虐げられてきた最も辛かった時期だ。
今のリアンの心は正にその時期のものに退行していた。そして、オブリビオンが潜む洞窟が怖くて入れずにいたのだ。
そんな様子のリアンに元気よく洞窟に入ろうとした二尾・結(通りすがりのツインテール・f21193)が気が付いた。
「あれは……ここはわたしがげんきづけないと!」
幼児化してもヒーローとして振舞う事を忘れない結が怯えた様子のリアンを放っておけるわけがなかった。
結はリアンを元気づける為に動き始める。
「そんなにこわがらなくてもだいじょうぶよ!」
「っ!? ……なにだいじょうぶなのです?」
リアンは突如として声をかけてきた結に驚き、結の言葉に首を傾げる。その表情は幼児化したリアンの何が大丈夫なのかという疑問が現れていた。
そんなリアンの様子に結は苦笑すると大丈夫な理由を教える事に下。
「だって、あなたはひとりじゃないわ!わたしたちというなかまがいるじゃない!」
「!!! そ、そうです……いまのリアンはひとりじゃないです!」
今のリアンは嘗ての一人ぼっちな奴隷ではなく沢山の仲間がいる猟兵なのだ。結は一人では敵わない相手でも仲間と力を併せれば必ず勝てるとリアンを励ましてゆく。
リアンも怯えるあまり忘れていた猟兵となってから得た大切な存在を思いだした。そして、そんなリアンの声に応じるかのようにリアンの周囲に集団が現れた。
それはリアンが猟兵となってから共に有るファムとラミアを筆頭とする魔物娘達であった。尚、ファムと魔物娘達もクッションの上に着地したので当然の如く幼児化している。
「おぉ!? このこたちはあんたが呼び出したの?」
「そうなのです! ファムとまものむすめさんなのです!」
「いっきにおおじょたいになったわね! これならきっとかてるわよ! さぁ、わたしといっしょにどうくつにとつにゅうよ!」
結は突如として現れたファム達に驚くがリアンに沢山の仲間がいる事を知り満足げに頷いた。
そして、リアンの手を取ると洞窟へと進み始める。
こうしてリアンと結は沢山の魔物娘達を引き連れて洞窟へと突入した。
●
「わぁ……すごくたのしそうです……。」
「……っ!」
「ちょっと、ゆうわくにまけちゃだめよ!?」
結とファムに励ましてもらいながらどうにか暗い洞窟を抜けたリアンは煌びやかに光に満ち溢れ沢山の仔蟻が楽しそうに遊びまわる光景に目を奪われる。
そのまま仔蟻と混ざり遊びたいという衝動に駆られるリアンを結とファムが慌てて引き留めた。だが、目の前の光景に惹かれたのはリアンだけではなかった。
「あぁ!? みんなそっちにいっただめです!」
リアン達に追従してきていた魔物娘達が誘惑に抗えずに遊び始めたのだ。リアン達は必死に制止を試みるが数が多すぎてそれも叶わない。
仔蟻達も突如として現れた集団に戸惑うが直に打ち解けて仲良く遊び始めた。
「……よし! あのこたちにこありはまかせてわたしたちはははありをたたくわよ!」
「えっと……わかったです!」
「……。」
あまりにも早い仲間達の離脱に3人は唖然とするが結が咄嗟に魔物娘達は仔蟻を抑えてくれているんだと口走りリアンもそれに同意する。
ファムだけはそんな二人を呆れたように見つめるが結局二人に同調する事にした。
そして、ティタノミルマ・マザーと戦う決意を露わにする3人の頭上が突如として暗くなる。3人が慌てて見上げればそこにはティタノミルマ・マザーがいた。
「まぁ! こんなに沢山の子供が来るなんてお母さん嬉しいわ!」
「っ!? あ、あんたがこありたちのおやだまね!」
「あっ……す、すごくおおきいのです……こわいです……!」
結は幼児化した事も相まって想像以上に巨体に怯みながらもヒーローの心を奮い立たせる事により持ち直した。だが、リアンは山の如き巨体に怯えてその場から逃げてしまった。
ティタノミルマも足元で声をあげる結に気が付くと笑みを浮かべた。その笑みに敵意や悪意が全く感じられなかった。
「うふふ! 元気な子もお母さんは大好きですよ。」
「ふふん、こどもになってもひーろーのこころはきえないわ! さあかかってきなさい!」
結は自身へと迫るティタノミルマに対し黄金のオーラを纏うと両腕を交差させた。ティタノミルマの攻撃を受け止めて反撃を使用というのだ。
だが、ティタノミルマがとった行動は攻撃ではなく優しい抱擁であった。結はティタノミルマの予想外の行動に一瞬困惑するが捕まった事に気が付くと慌てて逃れようと腕を振り回し始めた。
「あらあら、肩を叩いてくれるなんて嬉しいわ。」
「あ、あれ? ぜんぜんきいてないわ!?」
悲しいかないくら強化されていても今の結は5歳の幼女、いくら腕を振り回し叩きつけようとティタノミルマの甲殻を砕く事が出来ない。
それどころか元気よく叩きつけられる腕をティタノミルマは肩叩きと認識して喜び歌い始めてしまう。
そして、ティタノミルマの歌に籠められた魔力が結の体を容赦なく蝕んでゆく。
「お母さん、最近妙に突かれていたから本当に嬉しいわ。~~♪」
「このひとのおうた、すっごいじょうず……なんだかいいきぶんになってきたわ。……おかあしゃんがいたら、こんにゃかんじなのかな……?」
歌が結の耳に入る度に結は更に幼くなり記憶が朧気になってゆく。そして、歌が止む頃には結は赤ん坊になっていた。
「うふふ、それじゃああなたもわたしの子供にしてあげましょう。」
(え、ほんとーにおかあしゃんになってくれるの? やったぁ!)
ティタノミルマは腕の中で不思議そうに首を傾げる結に微笑むと繭で包み込んでいく。繭に包み込まれた結も繭の中で声なき喜びをあげながらその姿を変化させてゆく。
結の金色のツインテールが解け黒く染まってゆく。小さな両腕を甲殻が包み込み下半身も粘土の如く変形し蟻の下半身へと変貌した。
そして、繭を突き破り姿を現した結は人ではなく仔蟻となり元気一杯だった雰囲気はなりを潜めていた。
「……おはようございます、おかあさん。」
「うふふ、おはよう愛しの我が子。」
先程とは打って変わって大人しい性格に変容した結をティタノミルマは気にする事なく愛で始めた。その光景を耳を塞いだリアンが物陰から見ていた。
●
「そんな、ゆいさんが……。リアンがにげちゃったからゆいさんがやられちゃったの?」
突如と現れたティタノミルマに驚き、咄嗟に物陰へと逃げてしまったリアンはあっさりと仔蟻にされてしまった結に唖然とする。
同時にリアンは自分が逃げなければ結はやられなかったかもしれないのにと自己嫌悪に陥ってしまう。そんなリアンをファムは立ち直らせようと肩を揺らした。
「……っ!」
「そ、そうです。いまのリアンはひとりじゃないのです。ファム、リアンにちからをかして!」
ファムの機転によりどうにか立ち直ったリアンは結を助ける為に行動を移る。
【魅了変化】により20代前半の大人の姿へと変化したリアンとファムはティタノミルマの前へと躍り出ると殴り掛かった。
しかし、ティタンミルマは大人の姿となったリアンを見るや驚愕し二人を巨大な尾部で薙ぎ払った。
「あなた達、どこから入ってきたの!? わたしの子供をどうするきなの!?」
「ひっ!?」
結であった仔蟻を守るかのように抱きしめ、背から生えた腕を打ち鳴らし威嚇する姿は正しく子を守ろうとする親の姿であった。
そして、その姿はなけなしの勇気を振り絞り戦いを挑んだリアンを怯えさせるには十分すぎた。
怯えによって【魅了変化】の制御が乱れたリアンは元の幼児姿に戻り、リアンと同調したファムも元の姿に戻ってしまう。
ティタノミルマは元の姿に戻った二人を見て慌てて介抱を始めた。その表情には子供を傷つけたことに対する後悔に満ちていた。
「あぁ!? お母さんなんてことを……ごめんね、いたくはなかった?」
「ひぃ……。こ、こないで……。」
「あぁ……こんなに怯えちゃって……お母さん失格だわ……。」
怯えて逃げようとするリアン達をティタノミルマは割れ物を扱うかのように抱き上げると落ち着かせる為に頭を撫でながら歌を歌い始めた。
歌を間近で気化されたリアンとファムは瞬く間に赤子となり、ティタノミルマの紡ぐ繭へと包まれてゆく。
こうしてリアンとファムも結の後を追う様に仔蟻にされるのであった。
ジナイーダ・クロハネ
●
「――母、か。」
黒に紫の混ざったストレートヘアがショートヘアの幼児となったジナイーダ・クロハネ(叛逆のワタリガラス・f18962)は洞窟を歩きながら呟く。
ジナイーダは物心ついた頃からヴァンパイアの配下として吸血鬼殺しと戦う日々を送ってきた。その暮らしの中に親の姿はなく事実ジナイーダは親の顔も名前も知らなかった。
故にジナイーダにとって親とは未知の存在に他ならない。だが、親の事を知らなくてもジナイーダが猟兵として動く上で全く問題はなかった。
「──猟兵である以上、どんな手段を使ってでも、屠るのみ。」
幼児化に伴いジナイーダは武器の殆どが使えなくなっている。加えて、今回の相手は巨大な蟻の魔物であり幼少期の体術が通用するとは思えなかった。
だが、今回の相手であるティタノミルマが残り僅かな寿命という爆弾を抱えているという。相手を屠る手段を択ばないジナイーダが爆弾を狙うのは当然の帰結であった。
「──しかし、遊ぶだけで良いとはな。」
相手の抱える爆弾を爆発させるには相手と遊ぶだけで良いという。それは普段から相手を屠る為の手段で試行錯誤を重ねて来たジナイーダにとって拍子抜けする程に楽な方法だ。
強いて問題があるとしたら母親と子供の行う遊びが分からないという事であるが、それは相手が勝手に合わせてくれるだろうとジナイーダは考えた。
「──今回は楽に終わりそうだ。」
この時ジナイーダは今回の仕事が楽に終わるとたかをくくっていた。
●
「──幼少の子供ならあれが普通なのか?」
光溢れる遊び場へと辿り着いたジナイーダは仔蟻達が楽しそうに遊びまわる光景を訝し気に眺めていた。幼少期から戦いの日々を送ってきたジナイーダには幼児化しても沢山の遊具も美味しそうな料理も全く魅力を感じなかった。
魅了されないのは好都合と考えたジナイーダはこの洞窟の主であるティタノミルマを探す事にした。途中、仔蟻達に遊びに誘われても無視しながら遊び場を歩き回る。
程なくしてジナイーダはティタノミルマを見つけた。ティタノミルマは何故か打ちひしがれているものの、ジナイーダはそれを気にする事無く接触した。
「──あそんで。」
「うぅ……わたしの可愛い仔が……っ!! いいわよ! お母さんと何をして遊びたいの?」
「──おかあさんといっしょなら、なんでもいいよ。」
「それじゃあ、まずはお母さんと砂遊びをしましょうか。さぁ、お母さんに捕まって。」
ジナイーダが要件を言えばそれだけで悲痛な顔で項垂れていたティタノミルマは笑みを取り戻しジナイーダに何をして遊ぶか問い掛けた。
対するジナイーダはお母さんと子供が何をして遊ぶか分からない為に当初の予定通りにティタノミルマに遊びの内容を委ねる事にした。
こうしてジナイーダとティタノミルマの遊びが始まった。
●
「……『ぼくはまけない!』勇者はボロボロになっても諦めずに悪いドラゴンへと挑みます。」
「──あれは、たおすべき、てき……のはず……。」
ジナイーダはティタノミルマと様々な遊びをしました。砂遊びにおにごっこ、かくれんぼうに絵本の読み聞かせ。
事前の作戦通りに事が進んでいるにも関わらず、ジナイーダは困惑していた。
というのもティタノミルマと遊び始めてから現在に至るまで彼女から一度として悪意や敵意を向けてこないのだ。それどころかジナイーダはティタノミルマから溢れんばかりの親愛を注がれていた。
端的にジナイーダはどう動けばいいのか分からなくなっていた。そして、そんな彼女の様子を見たティタノミルマは絵本を読む事を止めるとジナイーダを優しく抱き上げた。
「あらあら……思いつめた顔をしちゃって、何か気になる事があるの?」
「──こどもって、どういうことをすればいいの?」
困惑するあまり、ジナイーダはティタノミルマは普通の子供ならまずしないような問い掛けをしてしまう。
そして、可笑しな質問をした事に慌てふためくジナイーダにティタノミルマは苦笑するとジナイーダを優しく抱きしめながら語り掛けてゆく。
「あなたはおませさんなのね。そんなに難しく考えなくても素直に甘えればいいのよ。」
「──そっか、こどもって、あまえるものなのか……。」
「そうそう。……たくさん遊んで疲れたでしょう? お母さんが子守歌を歌ってあげましょう。~~~~♪」
「あっ……。」
優しく抱きかかえられたジナイーダの耳に魔力の篭った歌声が飛び込んでゆく。歌はジナイーダの体をどんどん幼くしてゆき、更に意識をも朦朧とさせて行く。
程なくしてティタノミルマは赤子となったジナイーダを優しく繭に包み込むとそれを抱えて広場へと戻ってゆく。
数分後、広場には仔蟻となりティタノミルマに甘えるジナイーダの姿があった。
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作成日時:
2020/02/21 22:14:33
最終更新日時:
2024/06/13 01:01:19
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