深淵(感情に対する変化)

作成日時: 2021/02/18 01:46:57

【2019/10/2~】


同族だらけの声に紛れていたが、ふと賑やかな声が幾つか減って。
『寂しい』を、はっきりと理解する。

俺様は『バス停』だが、確かに今は『ヒト』をしていた。
そう、『ヒト』のような、ものだった。
…………ならば、すこしくらい『ヒト』のようなワガママを。
素直な『感情』を、思うままに伝えてもいいのでは。



バス停としては常に第三者で居たいから……『ヒト』のような『葛藤』があるけれど。
「あァそうなんだ」と納得を、しないわけでもない。
それならば。落とし主を探す以外に、楽しみ方をひとつ、見つけたような気もするんだ。
……その始まりは、×××、××××××××であるけれど。

気にしてないように見えるのであれば、俺が『ヒト』ではない証拠だろう。
ただ……掛けるべきが、どんな『言葉』であれば良いのか……。
常に第三者で居ようとする俺が『何を』言う口をもつというのか。
静かに考えていたが、分からない。
……それでも俺は、俺様は。
見ていて、……つらかッた。



【2019/11/08~】

『感情』、とやらは、難しい。
俺様の思考と違う、変なコトバがたまに、でているようだが……
…………やはり、『根本は』よくわからない。

バス停がそう思うのは百歩譲ッて良いとして、在り方として、違うとも思う。
複雑だ、わからない。でもわからなくても、…………まァ、いいか。
考えすぎても眠れぬ夜の供にしか、なりはしねェから。


【2019/12/16~】

爪も牙もない……草食の小動物と、俺様……?
ああ違う。それは恐らく誤解だ。
飼育を…面倒だ、とかそういうのじャない
…勿論そういう生き物と付き合うのが嫌いとか怖い、とかでもない

……『優しい国』の生き物を、怯えさせたりしないか心配なんだよなァ
恐らくは、俺様が心配するほど……繊細でもないんだ、ろうけど。


【2020/01/05~】

おい毛玉。お前の名前が『ピューレ』と決まッた。
お前と一緒に国を出てきたあいつは『アム』だッてよ。
……おいやめろそんな目で俺様を見るな毛玉。
やめろやめろ、そんな「何故名付けられた名で呼ばないのか」みてェな顔をするな!
そうでなくとも、……基本種族名以上までで、名前は呼ばねェんだよ俺は。
いいか、毛玉。どうもお前は物怖じしないようだから、実力で呼ばせてみせろ。
――……それまでには。
動物の言葉を理解する術式を、模索しておいてやるよ。





【2020/01/24〜】

そういえば……。
どうしようもない不安に任せて怒ッてしまッた事を思い出した。
……違うんだ、語彙が足りない。
アンタを嫌ッた訳じャない。
アンタを侮ッた訳でもない。
凄い事に怒りたかった訳でもない。
……ただ、俺の感情を俺が掴みそこねたんだ。
すごくざわざわした。
あれは表現し難い…、、ざわめき…?
最近まで、多くを考えてこなかッたから。
だから、あの日はどちらかといえば逆だ。そんなことしないでほしいと、密かに望んでいた。
理不尽な気分に任せて怒るとか、餓鬼かよ。
………。……ああ、うん。
俺様が間違ッてるな、正しく餓鬼なんだから。いいのか。…この場合は。
この気持ちは恐らくモノらしくはないが、今はモノとも言えないんだし。
……。
あんまり…死ぬほど驚かさないでくれよ。
あんたと。いろんな話をして、ときどきいろんなものを、みたいんだ。
……見てみたいと、思うんだ。
あんまりこわいことを、してくれるなよ。
おれさまと、また散歩しよう?――なァ?
……おちついて考えを纏めると。まるでいぬのようなだな……。


【2020/02/07~】

……なんだか、どこでも甘い匂いばかりだ。
うーん…………鼻が痛い。


【2020/08/11~】

俺様が、"見えている"必要は……もう、なさそうだな。
必要なら呼んでくれ。
俺様はきっと、俺様を喚ぶ声に。
もしくは"客"が喚ぶ声に、時刻通りに答えよう。


【2021/01/09~】

個人としてできることは、たかが知れている。
俺様が出来ることは、あまりないから……まどろみに寝転ぶ。
落ち着かない。気が散る。どうも心が不安定だ。
……でも。
"その言葉"から目をそらすほど、俺様は――薄情にはなれない。


【2021/01/31〜】

“それ”が、最初で最後の“主人命令”だとしたら。
俺様はどんな顔で過程を喜べばよかッたのだろう。
……いや、命令ではない。
あくまで、願い、……であるはずだ。

だから俺は、託された願いを声の限りに吼えるのだ。
“お願いだから――!!!”
こんなおれにも、ねがいはあった。
それもまだ短い人生でうまれた……にんしきできている、ひとつだけ。
“ただ、……、傍に、居させてくれよ”。