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作成日時: 2023/07/11 00:13:37
「ふんふんふん♪」
鼻歌を歌いながら慣れた手付きで魔法陣を描く。
何十と繰り返し書き続けたソレを。
母の書斎にて見つけたオカルト本にあった魔法陣。
「へへ…ママったら、僕に内緒でこんなの持ってるなんてねー」
なんでもこれは陣と触媒と詠唱による召喚術式らしい。
喚び出されるのは触媒に関連した従僕。
なんでも英雄を呼べるとかなんとか…。
「試さない手はないよね、っと…」
誰も居ない自分だけの秘密基地の、地面に描いた魔法陣。
不備がないかを見本と細部まで見比べて確認して。
「よし―――!」
立ち上がり、大きく息を吸う。
息を吸い、吐く。繰り返された行動、私の基盤にして土台。
中空を漂う微かなマナを残さず取り込むように。
同時に逸る熱意を鎮める為に。
「―――Initium(セット)!」
瞳を閉じて、体の奥のマナを励起させる……イメージを行う。
 そ     そ
「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。」
「降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ」
 みたせ みたせ みたせ みたせ みたせ
「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ」
「繰り返すつどに五度」
「ただ、満たされる刻を破却する」
「――――告げる…!」
陣が励起し輝き始める、その光景に目を奪われそうになるも堪え。
「汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に」
「聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ!」
「誓いを此処に!」
「我は常世総ての善と成る者!」
「我は常世総ての悪を敷く者!」
「汝三大の言霊を纏う七天っ!」
「抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!」
詠唱が終わると同時に青い輝きが視界を埋め尽くしていく。
感じたことのない魔力の奔流に肌が泡立ち、歓喜の表情を浮かべて。
召喚の行方を見守っていく。

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沈んでいた意識に一筋の光が差す。願いが届いた
喚ばれた―――ならば、考えるまでもない。応えよう
 
閃光、そして風が吹き荒れ……収まるころには、魔法陣の中心に一人の男が立っていた
 
「君がマスターだな。私は迅速のランサー」
「――――それでは、聖杯戦争を開始する」
 
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「成功だ!やったあ!本物だったんだあって聖杯?戦争?え、凄い物騒」
興奮が少し冷めて、聞きなれないワードにきょとんとして。
「いたっ!はぁぁあなに?なに?」
手の甲に浮かぶ令呪の痛みに驚き、確認して。
「なにこれ、なにこれ。カッコイイ!じゃない、どうしよう。ママにバレたら怒られる!?入れ墨?タトゥー取れる?取れない。ほあぁぁああ!」
従僕の召喚の成功、聞きなれぬ聖杯戦争、突如現れた令呪(タトゥー)に混乱していて。

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「聖杯戦争とは願いを叶えるための殺し合い。そしてそれは令呪という私への3度限りの絶対命令権だ」
マスターが口にした疑問に答えを返すとつかつかと歩み寄り
「さて、疑問はまだあるかマスター。無ければ私は行動を開始する」

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「正直言うと!質問はどさりとあるけれども!」
一度深呼吸をして、向き直り。
「それらは後で聞かせてもらうぞ!我が従僕!従僕に告げる最初の言葉はコレだ!」
「GO!ランサー!GO!」

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「了解した」ひょい、と少女を抱え上げ
「では改めて――――――聖杯戦争を、開始する」
そして窓枠に足をかけ、外へと身を躍らせた

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