仮案帳-宵-

作成日時: 2019/12/11 01:42:48
【荒屋-弐】
いつの間にか共に在った姿は減り類さんと二人
…分断、されてしまったみたいですね

一度深く、深呼吸
見せられる記憶は分かりきっている

すみません類さん
また、迷惑をかけるかも

以前共に赴いた依頼でも記憶に囚われた
救い出してくれたのは彼だ
次は負けぬ様に
類さんが傍らに居てくれる事を強く刻み付け
そして先程まで一緒だった二人の名も小さく言零す

障子戸に影が浮かぶ
炎に飲み込まれる家屋と逃げ惑う人々
そして─

『逃げて!くろ!』

冷たい汗が頬を伝う
息が上がり
拳を強く握れば喰い込む爪の感覚にも気付かぬまま

…大丈夫、大丈夫
頭の中で繰り返しながら
上げた視線の先には彼が居て

─ああ、大丈夫だと
強張っていた身体が解れた気がした