仮案帳-宵-

作成日時: 2020/02/04 01:09:44
【皆紅】

盗ませやしません

守る為奪わせぬ為失わぬ為に
身を引き摺り此処まできたのだ
漸く心地良いと思える場所を
追いかけたいと思う背を見つけた
また、前のように駆けられるかもしれないんだ

──っ

ひゅ、と喉が鳴る
庇ってくれた花世さんの身体が傾く
瞬きの間熱の冷める心地
彼女が眠っているだけだと気付けたのは
綾さんの表情を見たから

早鐘打つ心臓押さえつけ花嵐の中へ
言葉が燈す心強さを背に受け駆ける

見守るよう柔く笑む優しいあなた
躊躇い無く触れる無邪気なあなた
口遊びながら共に駆けてくれるあなた
咲き染む縁を散らせたくない

ユルグさんが傍駆けている事がわかる
だから眸は只前向く
振るえば咲いた氷花がくれなゐの花弁映し朱色を灯していた