挿話

作成日時: 2019/12/12 00:54:50
🐑

花世/f11024と
天鵞絨を曳いた夜の下
青い星ひとつ灯したならば
暖かな熱が指先に逆の手へ
ぱちりと見返し瞬いて

繋がる掌と声は暖かくって
冷たかろうと告げる筈の言葉も溶けた
きっと頬だって緩んでしまって
もちろん、一緒に、ゆきましょう
子羊のよに跳ねる足取りで
綿雲のよな子のところまで
甘い香りに柔い虹の色
お菓子の国のようで冱て風も忘れて心の弾む
ぽふりと埋もれたならば心地良さに沈みそう

じんわり滲みだす熱にころころ笑う
やあ、花世はちいさなこどものようね
灯る熱に拍つ心地、微睡みに誘うあなたの
たしかないのちの音に安堵すれば目蓋も落ちて
羊の子らと同じ海へと還るまで
繋いだ掌から廻る夢へとおなじように融けていく