挿話

作成日時: 2019/09/19 02:26:29
花世/f11024と

ずっと待っていたらまた逢えたのかしら
終わらぬ境の先に影は伸びてくるかしら
夜の前にお逢い出来たらしあわせだろに
行き去る彼等に会うことはもう能わない

変わることない夏の情景を土の匂いを黄昏の彩を
後ろ姿が花の香りを纏い塗り替えゆくのに目を細め
さみしい子へと駆ける背はいつかみたのと同じ儘で

お前も花世もやさしい子ねえ
ずうっと待って、いたかったね
欲しい言葉も遣れぬけれど
待たせてもやれないの

だからきちんとさよなら、いたしましょ
硝皚の花を手向けとひとつ加えたならば
落ちるさいごの光に手を伸べて
いつかの今へ、躊躇わず送ろう
微笑って見送る最初で最後の、夏のため

ええ、ええ、
きっとさよなら、できるよう