挿話

作成日時: 2019/09/18 00:21:14
花世/f11024と

ずっと待っていたら、また逢えたのかしら
終わらぬ境の先に、影は伸びてくるかしら
夜の前にお逢い出来たらしあわせだろに
行き去る彼等に会うことはもう能わない

変わることない夏の情景を土の匂いと季節の残り香を
駆け行く後ろ姿が遠ざかるほど花の香りが塗り替える
さみしい子へと駆け行く姿はいつかみたのと同じ儘で

お前も花世もやさしい子ねえ
ずうっと待って、いたかったね
お別れもいえぬのでは哀しかろ

だからきちんとさよなら、いたしましょ
硝皚の花を手向けとひとつ加えたならば
落ちるさいごの光に目を細めて
いつかのいまへ、手を伸べる
微笑って見送る最初で最後の、夏のため

ええ、ええ、
きっとさよなら、できるよう